ソフトBバンデン、“開花”の秘密 フォームを変えた母国オランダ科学者の助言

オランダ人投手の典型だったリック・バンデンハーク、彼を変えた科学者の助言

「Project Fastball」最大の注目は、ソフトバンクホークスに所属するオランダ本土出身リック・バンデンハークの測定である。2002年~2012年の期間アメリカマイナーリーグを主戦場とし、思うような結果が出ずもがいていた。

 2012年パーソナル理学療法士が彼の状況を何とか改善する方法はないかと考えた。そこで理学療法士からProject Fastballチームへバンデンハークの測定について依頼し、オランダ代表として国内練習の際に、過去の怪我や、疲労が溜まりやすい箇所についてなどをふまえた上、協議を重ね、測定を行なった。
 
 その結果、バンデンハークの良さと欠点を把握したことにより、フォームの修正に踏み切ることができた。研究チームリーダーデルクヤン教授はこう説明する。

「彼の特徴は・大きい(背が高い)・力強い・速い(球速)・上手い(技術)の4点」

 しかし、それが幾多の怪我に繋がっており、投球時の踏み出しで足股関節の内旋する力が非常に強く、198センチ、105キロの全てを左足股関節で受け止めることが、臀部や股関節の怪我に繋がっていることがわかった。

 そこで力を弱めるのではなく、投球後に力を逃がすフォームを作ることで投球への力は保ったまま怪我のリスクを減らしていこうと試みた。見事“ハマった”バンデンハークはメジャーでの登板、韓国野球、NPBと活躍の場を広げていった。

 研究チームのエリック・グラッフ(アムステルダム自由大学)に対し、「研究結果は現場に伝わっているか?」と聞けば「Yes&No」と返事がきた。続けて「動作を分析し、フォームの中で注意しなければならない10個のチェックポイントが明らかになったことにより、特に18歳以下の世代では怪我の発生が減少している。しかし、速球を投げるための指導の開発はまだまだだよ」と指導の部分が課題であると語っていた。 

 WBCが終わり、来年の2018年からは「Project FastballII」の始動も決まっている。2020年に行われる東京オリンピックで大きな成果を上げることを最大目標とし、怪我なく、速い投球を行うことはもちろんであり、研究結果をどのように選手へ指導すれば良いか追求していく予定である。

(大森雄貴 /yuki omori,、加藤勇太 / yuta katoh)

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