背番号「0」の投手 オリックス・山崎福也投手にしかできないことがある
チーム27年ぶりの背番号「0」投手「心機一転、プロ野球の歴史に名前を刻みます!」
山崎福が1軍のマウンドに戻ってきたのは、7月10日、京セラドーム大阪で行われた北海道日本ハム戦。先発を任され、初回こそ制球に苦しむものの、2回から立ち直った。相手打線に付け入る隙を与えず志願して最後までマウンドを守り抜くと、打線の援護にも恵まれ、被安打7、与四球1、奪三振8でプロ初完投・完封勝利を決める。
まだまだ若手とはいえ、アマチュア時代の輝かしい実績により、「即戦力」「左のエース」として期待を寄せられていた。プロ入りしてからの2年間はその大きな期待に応えられたとは言えず、本人にとっても苦しい日々だったと思われる。しかし、この日の完封勝利は、25歳の大器の片鱗を見せ付ける価値ある1勝となったはずだ。
増井に背番号「17」を譲り、来季は「0」を背負うことになる。オリックスの投手が「0」をつけるのは、1991年の川畑泰博氏以来27年ぶりだ。山崎福はそれについて「そんなに落ち込んでいるとかはありません。心機一転、プロ野球の歴史に名前を刻みます!」と前向きに笑った。特に、先発に右腕が多いオリックス。左腕の山崎福がシーズンを通してポテンシャルを発揮することができれば、大きな戦力となることは間違いないだろう。
今年9月、阪神の横田が脳腫瘍を患っていたことが判明。山崎福は「横田選手とは偶然、街で会って話をしたことがあって、本当に良い子だなと思った。なんであの子がこんな目に遭わなければいけないのか」と自身の体験と重ね合わせ、「いつか交流戦か日本シリーズで戦いたい」とエールを送った。
人の苦しみに寄り添える心と「ポワーンとしている」「天然」と言われる愛される人柄。プロ野球選手の仕事が「野球をすること」「野球をすることで勇気や感動を与えること」であるならば、大病を乗り越え、マウンドで躍動する山崎福の姿が、それを見ている人の胸にもたらすものは多いはずだ。3年間の経験とこの背番号変更が、山崎福の飛躍の材料となることを願っている。