「最初はマウンドに立つのが怖かった」 大阪桐蔭新エースを襲う「1」の重圧
追いかける先発・徳山の背中「今度は自分が後輩に見られる立場」
神宮、センバツ、夏の甲子園、国体と“4冠”の期待も高かったが、この敗戦を冷静に受け止めた。何より大事なのはこれからだ。年が明ければ、年内まで共にグラウンドで汗を流し、今までアドバイスを請うてきた徳山の姿はもうない。今度は自分がチームを引っ張り、“真のエース”とならなくてはならない。
「自分が徳山さんを見てきたように、今度は自分が後輩に見られる立場。周りからも普段の姿から認めてもらえるようなピッチャーにならないと」
年末には大阪選抜チームの一員として台湾遠征も控えている。毎月のように公式戦をこなしてきた秋は、マウンドに立ちながらもがき続けたが、この経験は絶対に無駄にしない。
「この秋は求められるものが大きかったのに結果を出せませんでした。無敗でいこう、というのも1つの目標だったのに、自分が壊してしまって。でも、反対に言えば、悪いことを経験できた秋でもありました。全体的にレベルアップしないと先はないと思いますが、誰よりも練習したと思えるほど冬は追い込みます。最後に負けた悔しさをもってやっていかないといけないし、1番にふさわしい結果を残せるピッチャーになりたいです。いや、なります」
昨冬以降、急成長した徳山のように、柿木もその背中を追いかけられるか。真価が問われる冬に向け、その目には新たな決意がみなぎっていた。
(沢井史 / Fumi Sawai)