球団史上最大のアップ額 西武・菊池がクリアした“エースの条件”
球団幹部も「真のエースになった」、本人に慢心なし「来年勝てる保証はない」
また、「この8年間、いいことばかりじゃなかった。怪我や、いろんなこともあって、そこで引き出しや経験値として増えたことが、自分を助けてくれたと思う。最初の数年間はしんどかったですが、そういうことが生きているなと思える」と、過去の苦悩を今の自分を作るための重要要素だと、プラスに捉えられるようになったこともまた今後への大きな自信につながった。
監督、コーチ、チームメイト、そしてファンからも、真の意味で「頼れるエース」として、全幅の信頼を手に入れたと言っても過言ではない。鈴木葉留彦球団本部長も、「岸がいた時でも、エース格ではあったが、真のエースになった」と、史上最高評価に価する名投手であることを改めて強調した。
そこまでの評価と信頼を得つつも、慢心は微塵もない。「今年16勝はできましたけど、来年勝てる保証はどこにもない」。危機感すら感じさせる、向上心高き西武のエースは、さらなる成長を求めて、今冬は海外での単身自主トレを選択した。
「一人で自分を磨いてきます。とんでもないガタイの人と混ざってやるので、刺激になると思います。またゼロから鍛え直したいと思います」。年末年始以外、海外で徹底的に自分を追い込む予定だ。
自らが設定した“エースの条件”をクリアし、真のエースとして自信と自覚をもって来季に挑む。こだわるのは、やはりイニング数だ。「なかなか大きい数字ですが、せっかくなので、『200』イニングを目指したい。たぶん、怪我をしたら届かない数字。1年間フルで戦うという意味でも、挑戦したい」。成し遂げた先には、今回の契約交渉の席では、あえて口にしなかったメジャー挑戦という大きな夢への扉が待っているに違いない。(金額は推定)
(上岡真里江 / Marie Kamioka)