「俺を超えろ、超えればメジャーだ!」、3Aまで這い上がった日本人野手の夢

甲子園もドラフトも「興味ない」、指導を通じて伝えたいこと

 昨年の6月から始めて、生徒は40人くらいになった。

「今、中学でまじめに野球をやっている子は、甲子園からプロへ行く以外にイメージができない。そういう子たちに、違うモデルケースもあるよ、と提示したいんです。一方でNPBの野手はMLBに行っても活躍できなくなった。そういうこともあって、MLBに直接挑戦する僕みたいな若者はほとんどいなくなった。

 日本のプロがどうとかじゃなくて、アマからアメリカに行っても通用するような人材を育てたいんですね。大谷翔平選手は、高校からMLBを目指そうとした。これに対し日本ハムは“メジャーに上がる予備校としてうちの球団使ってください”というオファーをした。この作戦は面白いと思いました。

 今、中学生くらいで分別がついてきた野球少年の中には“別に甲子園じゃないんだよなあ”という子がいっぱいいるんです。そういう子供たちに“こういう道があるんだよ”と提示したいんです。高校から直接アメリカに行く道を見せてあげたい。日本の高校野球は、3年間、野球しか教えません。生きるためのツールを増やす指導をしてほしいですね。3年間野球をしていれば、国際感覚というか、英会話の一つくらい、身につくとか、そういうのがほしいですね。

 これまでの日本の野球界は、なんでも“はい”、”イエス”という選手ばかり作ってきました。そういう選手は、たとえ技術や実力があってもひとたび海外に行けば、目立たない。目立つことは悪いことじゃないし、人と違うことも悪いことじゃない。うちでは、練習をしながらアピールする、目立つことを、うまくやる方法も教えます。マイナーで、300人くらいの選手がいるなかで“俺だけを見ろ”というアピールができるかどうか、ですよ。

 プロ野球選手になることは就職ではありません。日本でも世界でも、自分が通用するところでやればいい。ミュージシャンと同じです。僕は、野球というツールを得たことで、世界中どこでも何ら憶することなく歩いていけるようになった。それが大きいと思います。こういう野球塾をやっていたら、中から何人かは甲子園に行くだろうし、ドラフトもかかるかもしれないですが、そういうのには興味ないですね」

有力選手も通う野球塾、「思いっきりバットを振らせたい」

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