松坂復活へ期待ジワリ 好投に見る37歳右腕の“本当の武器”

11か月前とハンファ戦の共通点、チームメイトも「違う球の重さ」

 この試合が終われば、オープン戦も残り1試合というタイミングだった。開幕が目前に迫っており、広島はほぼベストメンバー、開幕に向けて状態も仕上がってきている時期だけに、その投球内容は十分に評価されていいものだった。 

 並のチームなら、そのまま開幕ローテに入っておかしくないと思わせるだけの投球を見せた。ただ、そこは12球団屈指の選手層を誇るホークス。分厚い層に阻まれ、ローテから外れた。その後は知られた通り。シーズンに入って、また右肩に異変が出てしまったのは不運で、残念としか言いようがない。怪我は責められるものではない。何より辛いのは投げられない本人だった。ただ、確かにあの広島戦、松坂は復活の兆しを見せていた。 

 11か月前と、26日のハンファ戦。どちらの試合でも感じたのは球速以上に真っ直ぐが力強いことだ。140キロそこそこだが、打者が押し込まれたり、詰まらされたりするのは、ボールに力があるからなのだろう。キャンプ前に、キャッチボール相手を務めた又吉克樹が松坂のボールを「違う球の重さ」と語っていたが、それこそが、松坂の本当の武器。球速は失われてしまっても、ボール本来の質は失われていないということなのだろう。 

 まずは、きっちりと投げられることを証明して見せた松坂。ハンファ戦後のコメントを見る限り、本人は手応えを感じているようだ。ここからはナゴヤドームでの登板を重ねていく予定だという。怖いのは故障だけ。今後は開幕まで順調に仕上げていき、シーズンを投げ切ることが期待されている。それができれば、復活の白星だけでなく、2勝、5勝と、いくつもの勝ち星を挙げていくことも不可能ではないのではないか。 

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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