カープの強さの秘密、“凄腕仕事人集団”に迫る 劇的効果生んだ“改革”とは
「スタッフ同士の競争は愚かなこと」、大事なのは人間同士の協調性
石井氏によると、取り組みを変えた結果、太ももの裏の肉離れに関しては90パーセント近く減少したという。骨折など突発的なアクシデントによる故障こそ避けられないが、通常のトレーニングで故障を予防し、また故障した場合も再発を避けることで、離脱の長期化を未然に防ぐことができるようになった。他球団と比較して筋肉系トラブルに見舞われる頻度については「一概に比較できませんが、感覚で言うと3分の1くらいです」と胸を張る。
広島の強さを陰で支えるトレーナー部門に長年心血を注ぎこんできた石井トレーナーは「明確な答えは無いが、良い方向に進んでいると思う」と言う。だが、完璧に組織を機能させるために最も大事なのは人間だという。
「トレーナー部門でも一番大事なことは協調性です。スタッフ同士のチーム内の競争が一番愚かなことなんです。リハビリ部門とトレーナー部門が『オレが治したんだ』と各々手柄を主張することは愚かなこと。1つの評価に対してきちんとチームとして協調できる人材を大事にしています」
個性の強いトレーナー陣の資質を見抜き、まとめ上げてきた石井氏。その言葉は傑出した育成力だけには頼らない、築き上げてきた伝統と流儀を感じさせるものだった。
(Full-Count編集部)