先発5人制定着は1976年ドジャース エンゼルスの6人制採用に見る“奇縁”
近年最も印象に残っている先発陣は…
1976年のドジャース先発陣にはもう1つ、後の野球界に大きな影響を与えることがあった。ジョンの復帰である。肘の靱帯修復手術を受けて前年1975年のシーズンを棒に振り、この1976年に鮮やかに復活したのだった。トミー・ジョン手術に、その名を残したのである。
先発5人制はFA制度とトミー・ジョン手術、メジャーの歴史を変える大きな出来事と関連があるのだった。ドジャースといえばメジャーで初めて黒人選手を採用したり、西海岸に本拠地を移転したりと革新的な新機軸を打ち出してきた球団であるが、1976年のドジャースも、後のトレンドを作っていたわけだ。
さて、5人制だと先発の間隔は最短中4日。投手が投げると肘付近の毛細血管が切れ、修復するには4日ほどかかるという。医学的には理に叶っているということになる。
先発5人制はすっかり常識になった。近年最も印象に残っている先発陣は、2012年のジャイアンツである。ティム・リンスカムとマット・ケイン、マディソン・バムガーナー、ライアン・ボーグルソン、バリー・ジトの5人で162試合中160試合に先発した。他に先発したのはエリック・ハッカーとユスメイロ・ペティットが1試合ずつだけ。まさに5人のローテーションであった。安定した投手力で、この年は2年ぶりのワールドシリーズ制覇を遂げている。