大阪桐蔭・根尾は野球と勉学の“二刀流”で唯一無二に 名将の選抜総括
野球、勉学も一流の大阪桐蔭・根尾には唯一無二のプレーヤーとして期待
そして、これは私見になるがまだ、夏があり今大会で一番の注目を浴びた大阪桐蔭の根尾には誰もが成し遂げなかった選手になってほしい。投手、野手をこなし野球センス、技術、野球脳と全てが揃っており、それだけでなく勉学も一流だ。頭の回転も早くコメント力も素晴らしい。甲子園で優勝しドラフト1位でプロに入る……。このレベルで終わる選手ではない気がするのだ。
メジャーリーガーの中には医師、学者の資格を取るプレーヤーも存在している。根尾が仮に大学に進学するとなれば難関国立大学で強豪私学を相手にプレーする姿が見たいのは私だけだろうか。これだけファンをドキドキ、ワクワクさせる選手はそういない、野球だけでなく誰もが憧れるこれまでに無かった存在になってほしい。
そして生徒たちには「甲子園の選手」で終わるのではなく、「甲子園からの人間」として成長していってほしい。甲子園はあくまで場所であり、通過点でしかないのだから。出場するのが全てではなく、出場しなかった選手たちも含め野球人として成長してほしい。
最後に、今大会は地域差が少なく全国の高校野球ファンが楽しめた素晴らしい大会となった。だが、選抜される実力がなかったとはいえ地元・兵庫から出場ゼロだったのは寂しい限りだ。100回大会を迎える夏の甲子園に向けた戦いはすでに始まっている。次はどのような試合を見せてくれるか楽しみにしながら、ペンを置く。
〇比屋根吉信 (ひやね・よしのぶ)
1951年9月19日、兵庫県尼崎市出身。66歳。報徳学園高から大阪体育大に進学。卒業後は西濃運輸で日本選手権にも出場。1976年に沖縄・興南高の監督に就任。仲田幸司、デニー友利ら多くのプロ野球選手を輩出。監督生活10年間で春夏通算6度、甲子園に導き1980年の選手権大会ではベスト8入りするなど同校を強豪校に作り上げた。その後は社会人野球・阿部企業、熊本・有明高の監督を務める。2010年から12年まで関西学生野球リーグの京都大学の監督を務め、田中英祐(元ロッテ)を育てた。現在は株式会社「カワイチ」で相談役を務めながら講演、野球指導を展開中。
(Full-Count編集部)