選抜も打撃チームが有利の時代に? 大阪桐蔭、智弁… 90回選抜大会総括

90回記念選抜高校野球大会は大阪桐蔭の史上3校目の2連覇で幕を閉じた
90回記念選抜高校野球大会は大阪桐蔭の史上3校目の2連覇で幕を閉じた

大会前から優勝候補に挙げられた大阪桐蔭が史上3校目の春連覇

 90回記念選抜高校野球大会は大阪桐蔭の史上3校目の2連覇で幕を閉じた。例年以上に熱戦が多く、サヨナラで決着がついた試合は7試合、うちサヨナラホームランが3試合はいずれも史上初。準決勝の2試合はいずれも延長戦になるなど、手に汗握る好ゲームが続いた。フルカウントでは高校野球を取材して約20年の沢井史記者が今大会を振り返ってくれた。

 大会前から優勝候補筆頭として挙げられていた大阪桐蔭。評判通りに実際に勝ち抜くことは容易ではないが、そんな中で掴んだ栄冠だからこそ価値がある。優勝した前チームの経験者も多く残り、投打で高校入学前から注目の的だった根尾昂(3年)、1年秋から不動の1番で昨秋はU18日本代表(今センバツはひざのケガの影響で全試合で4番)の藤原恭大(3年)、最速148キロ右腕のエース・柿木蓮(3年)など能力の高い選手がチームの中心となった。

 だが、「経験者がいるから、経験があるから必ずしも結果が出る訳はない。高校野球はそんなに甘くない」と西谷浩一監督は新チーム結成時から話していた。昨秋は大会が始まる前から「大阪桐蔭は近畿どころか神宮も制するんじゃないか」と言う者さえいたが、実際は神宮大会の準決勝で創成館に4-7で敗れた。ミスや消極的なプレーなど、“らしくない”試合運びが目についた。

 どの大会でも選手それぞれのコンディションに違いがあるうえ、常に100%の力を発揮することは難しい。ただ、準備はできる。中川主将は前主将の福井章吾(現慶大)から100%の準備をする大切さを説かれていた。そのため冬の間に技術的なプレーの見直し、チームとの和を確認するためにキャッチボールを上級生と下級生で組むなど、心を通わせることにも努めた。

 昨夏、甲子園で経験した“高校野球の怖さ”も思い知り、最後まで全力プレーも再徹底。“打倒・大阪桐蔭”で向かってくる相手にも、競り合う展開を見せるも、後半にはじりじり突き放すなど、底力はやはり他を圧倒していた。

智弁和歌山は超強力打線で劇的な試合を演じた

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