選抜も打撃チームが有利の時代に? 大阪桐蔭、智弁… 90回選抜大会総括

智弁和歌山は超強力打線で劇的な試合を演じた

 打線の破壊力なら智弁和歌山は大阪桐蔭に負けていなかった。高校通算33本塁打の3番・林晃汰(3年)は、今大会を代表するスラッガーで、準々決勝の創成館戦では逆方向に特大アーチを放った。昨夏の甲子園経験のある4番の文元洸成(3年)、5番の冨田泰生(3年)も強打者で2年生ながら長打力のある黒川史陽など、期待の戦力が揃っていた。

 全盛期の2000年前後に見せていた“超”がつくほどの強力打線に加え、144キロの速球を持つエースの平田龍輝(3年)など投打に柱がいた。準々決勝、準決勝では壮絶な打ち合いを制し、神がかった戦いぶりでファイナリストまで登りつめたが高嶋仁監督は「大阪桐蔭との差は大きかった。ウチは決勝戦まで来るのが精いっぱい。戦力はまだまだ」と、決勝戦という同じ土俵に立つも、大阪桐蔭と力の差を感じていた。投手力の向上など、課題は確かにあるが“打倒大阪桐蔭”を掲げ、再スタートを切った夏の戦いでは、さらに力強い打撃を見せてくれるのではと期待は膨らむ。

 大阪桐蔭と並んで評判が高かったのは東海大相模だった。エースの斎藤礼二(3年)は昨秋の県大会で防御率0.00をマークしていたが、県の決勝で右手甲を骨折し、続く関東大会では登板がなく回復が懸念されていたが、今春のセンバツで見事に復活。高校通算46本塁打の森下翔太(3年)や昨秋は4番を打ち、今大会2ホーマーの渡辺健士郎(3年)、準々決勝の日本航空石川戦で先頭打者本塁打を放ち好守を連発していた小松勇輝(3年)など、こちらもタレント揃いの戦力を誇る。

 序盤から一気にたたみ掛け、相手にペースを渡さない攻撃で初戦から聖光学院、静岡、日本航空石川と昨秋の地区大会王者を圧倒してきたが、準決勝では智弁和歌山との打ち合いに敗れた。「負けたら監督の責任」と門馬敬治監督は淡々とした表情で振り返ったが、甲子園独特の押せ押せの雰囲気も少なからず影響していたのか。もちろん、このままで終わるチームではない。

三重、日本航空石川、星稜、近江など春では珍しい打撃チームが多数

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