【1軍をマクレ】「今、2軍にいることも悔しい」ロッテ20歳左腕が心に秘める勝ち気と恩義
グローブに入った「恩」の刺繍に込められた思い
「中学に入って野球が上達したのは、他のスポーツをやっていたからかもしれないので、今では感謝です(笑)。ただ、野球をやらされているって思ったことは絶対にありません。自分からやっていたんで。高校でもそうでした。テストでいい点を取れば、新しいグローブを買ってもらえるってなれば、メッチャ勉強しました。野球のためなら勉強もする。必死でしたね。
高校の時も監督さんが『勉強ができないと野球は上達しない』って、赤点を取れば練習をさせてもらえなかったんです。だから、パソコンとか資格を取ることも頑張りました。高校で弱気なピッチングを見せたことが2回ほどあって、その時も練習に入れてもらえず、しばらくトイレ掃除だけってこともあって(笑)。でも、おかげで高校の時にメンタルが強くなったって言えますね。そういうこともあって、感謝する気持ちをすごく持ってます」
高校3年で甲子園ベスト8入りし、直後には侍ジャパン高校代表入りも果たした。「どんどん自信がついてくる感じだった」というが、プロに入ると「体力的にも精神的にも、こんなに厳しい世界だとは思わなかった。こんなに結果が出ないものかって、自信が一気に崩れました」。それでも心を折れなかったのは「ここまで来られたことに感謝したい人がたくさんいる」からだ。みんなの支えがあって、ここまで来られた。その気持ちを忘れないためにも、グローブには「恩」の文字が刺繍されている。
まずは1軍に昇格し、1勝を挙げること。そして、そこから「石川さんよりも長くやりたいです!」。今年38歳を迎えた郷土のレジェンドを超えるには、ここから18年はプロ生活を続けることになる。「今は毎日毎日が必死すぎる」と笑う20歳だが、努力は人を裏切らない。必死の積み重ねが、1軍への定着、そして長いキャリアにつながっていく。
(佐藤直子 / Naoko Sato)