ハム中島、近藤、ホークス柳田…1打席あたりの被投球数でわかる打者の特性
早いカウントから積極的に打って出る柳田、2ストライク後の打撃が全体の3分の2を占める近藤
そこでこのことを精査すべく、柳田の今季のカウント別打撃成績を見てみよう。Bはボール、Sはストライク。
B S 打率 出塁率
0 0 .348 .354
1 0 .357 .357
2 0 .429 .429
3 0 ―― 1.000
“0ストライク 31.5%”
打率.358 出塁率.391
0 1 .438 .438
1 1 .682 .652
2 1 .400 .364
3 1 .333 .800
“1ストライク 21.7%”
打率.529 出塁率.567
0 2 .286 .286
1 2 .222 .222
2 2 .281 .303
3 2 .241 .522
“2ストライク 46.7%”
打率.252 出塁率.357
2017年の柳田のストライクカウント別バッティング確率は
0ストライク 25.9%
1ストライク 20.0%
2ストライク 54.0%
だったので、今季は早いカウントでのバッティングを心がけている様子が伺える。
それもそのはず、2017年の柳田の2ストライク後の打率は0.190で2割を切っている。追い込まれてプレッシャーのかかる状況を作る前に、積極的に打ちにいくことで結果を残している。
では、P/PAが大きい近藤のカウント別打撃成績を見てみよう。
B S 打率 出塁率
0 0 .500 .714
1 0 .500 .500
2 0 .667 .667
3 0 ―― 1.000
“0ストライク 10.2%”
打率.539 出塁率.727
0 1 .143 .143
1 1 .360 .360
2 1 .600 .600
3 1 .667 .917
“1ストライク 22.8%”
打率.375 出塁率.490
0 2 .385 .385
1 2 .313 .333
2 2 .326 .326
3 2 .378 .582
“2ストライク 67.0%”
打率.344 出塁率.431
0ストライクでのバッティングは1割しかないが、2ストライク後からのバッティングはなんと全体の3分の2を占める。しかも2ストライク後の平均的な打率は2割そこそこなのだが、近藤の場合はなんと.344。出塁率も.431と驚異的な数字である。
なお、今季はまだ規定打席に達していないが、角中のP/PAは4.35.2ストライクからのバッティング確率55.9%で打率.276と平均より高い打率を残している。
P/PAは、ファウルの数よりも、四球数の数、さらには追い込まれてからでも出塁する自信があるかどうかの意識や技量によって増減する指標であると考えることができるのではないだろうか。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。