明確な意志こそ仕事のカギ プロスポーツ界転職組「ホンネトークVOL.02」

魅力に溢れる現場が転職者に求めるのは自立心と実行力

――「他競技・チームのここがうらやましい」という要素はありますでしょうか。

江島氏:今までお客様のために何かをすることがあまりなかった競技でして、グッズも定番の物が3、4種類ほど置いてある程度です。そうした部分は他リーグを参考にして、新しい物を作っていきたいと思っています。

佐藤氏:Bリーグは生まれたてのリーグであり、規模も小さくて、プロ野球やJリーグにはまだまだ及びません。ですが、グッズ担当者としての理想は「ニューヨーク・ヤンキース」です。チームやMLBのことを知らない女子高生が、街中で「NY」のロゴが入ったリュックを背負ったり、キャップを被ったり。ファッションとしてとり入れられていることが、日本でも成り立っている。これが理想だと思っていて、バスケットボールチームとして世界に出ていくために、グッズであればブランドとして東南アジアなどに進出できる可能性があります。そこが最終的な目標です。

――トークテーマのいずれか、あるいはこの業界に関心を持って集まった方々へのメッセージなど、一言ずつお願いします。

長谷川氏:「ここが自慢」ということでは、自分が企画した事案が新聞やニュースなどに載ったりして。友達に自慢できるのは、スポーツ業界の魅力だなと思います。

阿部氏:「選手との関係」については、密に接するかどうかは部署にもよります。ファンクラブグループとしては、昨年のドラフト1位で入団した田嶋大樹投手の本拠地デビュー日に、ファンへポスターをプレゼントする企画を考えました。そのポスターデザインを、広報の方を挟んで田嶋投手と直接話し合いながら作ったという絡みがありました。

佐藤氏:私も数年前までは、スポーツの世界で何とか働きたい思いを持って過ごしていました。最近はスポーツ業界へ入るための相談も受けるのですが、「とにかく携わりたい」ということをよく言われます。こちらとしては「何か携わりたい」より、「あれがしたい」「これができます」と言ってもらった方が答えやすい。ですので、この業界を志す方には「何がしたいのか」「どういったことができるのか」を突き詰めてもらうことが、入り口になるのではないかと思います。

江島氏:会社ではなく卓球界に「入ってみて驚いたこと」ですが、お客さんへの意識が十分ではなくて、競技会に近い運営をされていたように見えました。私はバスケットボールの世界から来て、これから卓球を売り出そうとしていますけども、売り出し方はバスケットも卓球も同じです。他のものでも一緒ではないかと感じますので、イベントに参加されている方々も、今の仕事のスポーツ界に生かせることがあるのではないでしょうか。逆にこちらが「そんな方法もあるんだ」ということもあると思いますので、提案型で来ていただければと思います。

安田氏:男性が多い業界ですので、女性ならではの意見というのはすごく重要です。リンク栃木ブレックスは女性ファンが3対7ほどの割合で多いので、SNSにアップする画像なども格好いいと思えるものは女性の方がわかる。女性ならではの目線でファンが、欲しい情報を伝えていくことが大切です。

 スポーツシーンもサービスの多様化に伴い、必要とされる職種と能力は細分化が進んでいる。現場のニーズが増えている分だけ、前職との公約数を探し出すのはそれほど困難ではなさそうだ。だからこそ、自分だけの武器が、より重宝される時代とも言える。新天地では、持ち前の能力に磨きをかけることがあれば、新しい能力を開拓する機会にも恵まれるかもしれない。いずれにしても土台と成すのは、業界への強い動機付けであるのではないだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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