大阪の野球人にとって「特別な場所」日生球場&藤井寺球場の記憶

大リーガー・マネー退団にまつわる「日生球場ゴキブリ事件」の真相

 近鉄に関しては、今でも面白おかしく語られる話がある。84年、MLBで通算1623安打を放ち、オールスター出場経験もあるスター選手、ドン・マネーが入団。優勝請負人として大きな期待されるも開幕早々、帰国してしまった。しかもその原因が「日生球場のロッカーにゴキブリが出たから」と伝わっている。この件について村上さんは真実を語ってくれた。

「少し間違って伝わっている。日生のロッカーはたしかに古くて狭かった。カビ臭かったしね。でもゴキブリが出たのは、実は球団が準備したマネーのマンション。それで奥さんが怖がって帰国してしまった。それが原因で慌てて藤井寺の改修に踏み切ったんです」

 マネーのゴキブリ騒動があったのは日生ではなかった。しかし、それがきっかけで85年に藤井寺の改修も行われたということらしい。

「藤井寺のロッカーは多少キレイになったし、外野に人工芝を敷いたり、スタンドも改修した。でも、根本は変わらない。外野のフィールドなんて人工芝なのにデコボコですから。お前らこんなところでよくケガしないな、と他球団の選手はいつも言ってました」

 藤井寺も日生とならび大阪におけるアマチュア野球の聖地的存在であった。1931年から2004年まで高校野球大阪府予選がおこなわれ、日生解体後の98年からは決勝戦の舞台となった。また56年から80年までは現在、兵庫県で開催されている全国高等学校軟式野球選手権大会の会場だった。

元近鉄・村上さん「藤井寺は近鉄が残してほしかった」

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