日ハム、川崎、栃木…他競技の強豪3チームが実現した「勝者の経営」とは…
チーム力と経営基盤を両立させるために
――北海道日本ハムファイターズは直近10年間でリーグ優勝が4回、川崎フロンターレとリンク栃木ブレックスは昨年のチャンピオンチームです。強いチームならではのクラブ経営があるのではないでしょうか。
森野「当然、チームは強い方がいいと思います。ただ、チーム作りとは別のサイドに、私たちのような事業サイドが存在しています。事業サイドとしての理想としてはチームの勝敗にかかわらず、どのように事業を成立させるかがミッションです。
実際、日本一になった翌2017年はリーグ5位に低迷しましたが、観客動員数を伸ばすことができました。そのように、いかにしてお客様に来場していただき、ビジネス展開をするのかをいろいろと考えて取り組んでいます。一方、チームはスカウティングと育成という明確な方針の元チーム作りを行っていて、それが結果として表れていると思います」
井川「どのプロスポーツも強さはとても大切だと思います。JリーグとBリーグがプロ野球と大きく違うのは、昇降格制度があるので、一気にビジネス環境が変わる可能性があることです。だからチームの強さは大切ですが、常に強いチームを作り続けるのは難しい。強くても弱くても関係なく、例えば『川崎生まれで川崎フロンターレが好きだから応援する』という人が多くいて、その人たちが年間チケットを購入してくれれば経営は安定します。そのあたりは、どのプロスポーツも同じではないかと思います」
藤本「Bリーグになってから、やはり強いチームがより強くなる仕組み上の構造を感じます。分配金や賞金などをチームの強化に再投資できるので、なるべく早くに強い位置にいると、また更に強くなるための原資が生まれます。
リンク栃木ブレックスはチームの理念を『強くて愛されるモチベーションが溢れるチーム』と言っています。スポーツ業界の方から『どっちやねん』と突っ込まれることがありますが、やはり会社の事業経営としては、強さとは関係なしに愛されるチームを作って、安定経営をすることが求められます。
その一方で『強さ』もきちんと理念に入れようということです。強いチームを作ろうとする努力や姿勢をファンの方に理解していただいて、選手達もファンがのめり込んで応援したくなるようなハッスルプレーやルーズボールを追う姿勢を心掛けたり」