野球振興の新たな一歩 プロアマの垣根を越えた「東大球場スポーツデー」
プロのノウハウを大学が共有すれば裾野は30倍に
一方、バックネット裏では東大・浜田監督による「賢い子供の育て方」と題したミニ講座が行われた。
浜田監督は、発達心理学の観点から野球が脳の発達にいい刺激があることを強調した。東大生の5~9歳時の習い事のベスト3は「水泳、ピアノ、野球」であり、全国平均の2倍だったことを紹介。野球は、脳が発達し、思考力がつく上に、接触プレーが少ないので安全で、社会性を学ぶことができるものだと訴えた。
適度に水分を摂りながら約1時間の体験教室で、子どもたちは夢中でボールを追いかけていた。
このイベントに協力したNPB(日本野球機構)の平田稔野球振興室長は次のように語る。
「東大の浜田監督が、NPB12球団の普及部門の会合を見に来られたのがきっかけで、NPBに依頼が来ました。我々としては、そういう垣根を取っ払って一緒に普及活動をしたいという考えですから、お引き受けしました。
各球団のスタッフは、普段アカデミーで専門に普及活動扱っている人々ですから、技術や健康・安全管理のノウハウを持っています。これを学生さんたちも是非学んでほしいと思います。どういう形になるかわかりませんが、今後も可能な範囲で協力したいと思っています」
東京大学の浜田監督も続ける。
「昨年から始めたイベントですが、今年は、昨年同様に子供たちに野球を教えること、そしてプロアマ一体となって野球振興するという2つの目的になりました。プロ野球チームは12球団、大学野球は380チーム。12球団の普及のノウハウを大学が共有すれば、裾野が30倍に広がります。今日は、30倍に広がる最初の細胞分裂だったということです。ここから広げていきたいですね」
プロとアマの垣根を越えて、野球振興の新しい一歩が始まった。
(広尾晃 / Koh Hiroo)