西武サヨナラ呼び込んだピンチバンター岡田 「プレッシャーしかなかった」
辻監督は「チームで1、2を争うくらいバントは上手い」と信頼を置く
ネクストバッターズサークルから打席に向かう際、ベンチに戻るメヒアから、胸辺りを軽くポンポンと叩かれ、何やら激励を受けていた岡田だったが、そのことについて尋ねてみると「たぶん『しっかりやれよ!』ってことだと思いますが、メヒアのこととか何も考えられずにいったので…」と、とにかくバントを決めることだけに集中していたことが伺える。
辻監督も「チームで1、2を争うくらいバントは上手い」と、能力の高さを認めてのピンチバンターだったが、「今のライオンズは小技が少ない」と岡田も語るように、西武のチーム犠打数はこの試合前で32と12球団で一番少ない(12球団最多はオリックスの80犠打)。その中での代打指名に「こういうところではしっかり決めておかないと勝ちに繋げられない」と、自ら失敗が許されないことを自覚して、打席に向かっていた。
初球のファールに「ダメかな」と、一瞬気弱になったものの「なんとか進めたら、次は秋山さんなので、(おそらく歩かされて)一、二塁になる。成功させなければ」と自らを奮い立たせてのスリーバント成功だった。
「今は放心状態。(失敗していたらと思うと)ぞっとする」と最後は持ち前の笑顔を見せた岡田。辻監督も「緊張した中で決めるのは、なかなか難しいと思うがよく決めてくれました」と、期待に応えてくれた岡田に賛辞を送っていた。
苦しんだ末のサヨナラ勝利に「大きな一勝。ヘボ監督なので、(9回の同点犠飛以降の判断に)迷いがあって少し後悔していたが、昨年もあったけど選手が助けてくれた。選手に感謝です」と指揮官。ロッカールームへ引き上げる際、ちびっこファンから「辻監督、ナイスですよー!」と、声をかけられ「ナイスじゃないよー」と、笑顔で答え、球場を後にした。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)