敗戦の中に成長見せた西武・相内 指揮官が「見事」と称えた2死三塁の攻防
2死三塁で迎えた山崎勝、フルカウントから投げたボールは…
2アウト。しかし、ランナーはサードへ進塁。ピンチは続き、9番・山崎勝を迎えたところで、捕手・森がマウンドへ向かい、「初球から振ってくるので大事に行きましょう」と相内に声をかけた。
その初球はバットが届かないほど低めのフォークボールで空振り。その後、ストレートとフォークを交互に織り交ぜながらフルカウントへ持ち込んだ後、捕手・森が決め球に選択したのはカーブだった。そのサインを見た瞬間、相内は「お、面白いな。ここでカーブ」と、思ったという。「ボールじゃなくて高めからストライク投げれば……」と投じたボールは、バッテリーの意図通りに決まり、見逃し三振でオリックスに追加点を与えなかった。
「最後は見事だった」と、指揮官も褒めていたこの場面。相内自身も「うれしかった」と、自然にガッツポーズが飛び出していた。
これまで4試合のリリーフ登板は、いずれも状況は違うが無失点で抑えている。この日の登板を細部まで冷静に振り返る語り口や、試合へ臨む姿勢に余裕すら感じるのだが「余裕はないですよ」と笑顔で答える。
「今回、1点差で投げさせてもらって、抑えられたのは自信にはなります。そして、絶対抑えたいという気持ちが強まりました。マウンドでやることは一緒なんですが、ちょっとずつ成長しているかな。前進しているかな」と、ここまでの投球に自らの成長を感じとりつつも、「あとは連投してどうか。連投経験が少ないですし、今年はまだないので、そこで抑えられたら」と、やはり最後は冷静に今後の課題を見据えていた。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)