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金足農のサヨナラ2ランスクイズ 近江の2年生バッテリーが今明かす真相と心境

今でも脳裏から離れないあのシーン。金足農ナインの歓喜の輪ができた横で、倒れたまましばらく動けなかった正捕手・有馬諒の姿はむしろ残酷にも見えた。

新キャプテンに命じられた有馬「甲子園は帰らないといけない場所」

 試合後、不思議に思ったことがある。球史に残る、劇的な負け方をした近江ナイン。本来は泣きたいほど悔しいはずなのに、ナインの表情に悲壮感をまったく感じなかったのだ。ベンチ前で甲子園の土を拾うナインの姿がテレビに映ったが、まるで好勝負を楽しんだかのようなすっきりした笑顔すら見えた。

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 因みに近江は今春のセンバツの3回戦で星稜にサヨナラ負けを喫してベスト8入りを逃している。「ベスト8入りするというひとつの目標が達成できた、というのもあります」と武田弘和部長は言うが、それ以上の感情が彼らを支配していた。

「負けたことは悔しいですけれど、8回と9回の自分たちのチャンスを抑えられた時も、9回に2ランスクイズを決められた時も……向こうはこういう場面を想定した練習をずっとやってきたんやなって思いました。そんなチームとこんな試合ができましたし、吉田投手のマウンドでの姿勢を見ていたら……自分も見習うところがありました。自分ももっと真っすぐのキレとスピードを上げていきたいです」と林は誓う。

 激戦から一夜明けて宿舎を発つ朝、多賀章仁監督から新チームのキャプテンを命じられたという有馬の目は、もう来夏に向けられていた。

「これからもっとしんどいこともあると思います。注目されることで、厳しい試合も増えると思いますし……。でも、自分がもっと林をうまくリードして、来年も甲子園には必ず帰ってきたいです。というより、甲子園は帰らないといけない場所だと思っています」

 2年生バッテリーにとって、あの空気の中にいたことは酷だったのかもしれない。でも2人の受け止め方はむしろポジティブで、“甲子園はこんなこともある”とさえ言っているようにも感じた。「自分たちは、まだ来年があります」。そう言って元気にグラウンドに駆け戻っていく有馬の後ろ姿に、来年の楽しみがまたひとつ増えたような気がした。

(沢井史 / Fumi Sawai)

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