【福岡発 売り子名鑑2018】登録数約500人…ヤフオクDのエリカ様が語る売り子界の厳しさと競争とは…
最高売上は200杯超「ただ売っているだけじゃ絶対に売れません」
名札に記された名前は「エリカ様」。「チェッカーさん(指導係)に名札を作ってとお願いしたら、名前がエリカというだけで…」。ただ、これが予想外の効果を発揮した。「お客様に凄く覚えてもらえるんです。お客様からも呼んでもらえますし、そのままがいいと言ってもらえるので、恥ずかしいですけど、「エリカ様」のままにしています」。顔見知りとなったファンからは、スタンドで「エリカ様!」と呼ばれることもあるという。
10キロを超えるタンクを背負ったまま、スタジアム中を動き回る売り子の仕事は見た目以上にハードだ。「最初はめちゃくちゃキツかったです。体力には自信がある方なんですが、あの重さを担いで、階段の登り降りをすることなんてないので、初めて入った次の日は全身筋肉痛でした」。だが、見た目や体力があるだけでは、決して売上が上がるものではないのだと、最高売上200杯超を誇るエリカさんは言う。
「ただ体力があるだけ、とか、ただ売っているだけでは絶対に売れません。周りを見なきゃいけなかったり、お客様が手を上げた瞬間を見逃さないようにしたりとか、ただただ売るだけじゃ売れない、頭を使う仕事なんです」。状況判断やその日の流れなどを動きながら見極め、自分の動き方を決めていく。トップクラスの売り子は、常に頭もフル回転させている。
毎日、その日の売上杯数が掲示され、順位も出される。イヤでも周囲との競争意識は生まれる。「競争もあります。(年数が)上だから売れるというわけではないですけど、自分より後輩が売れるのは悔しいですし、負けたくないというのは常に思います。負けず嫌いの性格なので、誰にも負けないように頑張ろうと思いますよね」。
そんな厳しい世界でありながら、続けられるのには、厳しさ以上にやりがいを感じるからだという。「お客さんとお話ししたときに『頑張って』とか『また来てね』と言ってもらえると頑張ろうと思えますし、そういうところがやりがいかなと思いますね。キツイですけど、その分終わった後の達成感もありますし、やっていて良かったと思います。他のバイトでは出来ないことだと思います」こう語って笑顔を浮かべたエリカさんは、三塁側内野席で今日もファンに笑顔で接している。