王者・広島を支える3番手捕手 磯村はなぜ「チームに欠かせない存在」なのか
レギュラー捕手とバックアップ捕手の狭間で
迎祐一郎コーチは磯村の打撃を高く評価する。高い技術はもちろんだが、意外性も持ち併せた打撃。17年7月2日、中日・柳裕也から放った逆転のきっかけとなる本塁打を例に出してくれた。
「パワーもあるし高校時代は強打者として有名だったんだからね。こう言ったら失礼かもしれないけど期待していない投手から打ってくれる。中日柳なんて誰もがお手上げ状態でいきなり打ったからね。そういうのは捕手独特の視点で対応している部分があるのかもしれない」
「課題は、少し小手先で打ってしまうこと。それも技術的にうまい部分があるから、どんな投球にも対応してしまって手を出してしまう。しっかり下半身を使った連動したスイングを身体に覚えこませています。また、打撃でも経験も必要になってくる。ただ立場的に、今は試合に出る機会が限られている、少ないチャンスを活かしつつも、可能な限り経験を積んで欲しい。いろいろな意味でもっと使ってみたい選手であることは間違いない。意外に足が速いのも魅力」
高校時代のはじめは野手としての甲子園出場だった。打撃以外でも、捕手としても生かされる強肩、そして標準値以上の足の速さ。磯村を使ってみたくなる理由もわかる。
しかし、打撃だけでレギュラー捕手に定着できるほど、今のカープは甘くはない。磯村自身も認識しており、できることから着々と行っている。そして打つこと以上に捕手の仕事にやりがいを感じているという。
「捕手はやっぱり面白いですよ。外野手と違って常にプレーに参加している気がする。もちろん打撃も好きですけど、捕手として試合に出るというのは本当にやりがいがありますからね」
「現状での一番の課題はスローイング。少しのズレが命取りになる。またスローイングは自分の技術が上がれば一人でもチームに貢献できる。例えば盗塁されて、完全に投手がモーションを盗まれても刺すことができる。チームに貢献できる大きな武器になる」
毎試合前、マンツーマンで磯村を鍛え上げているのは、植田幸弘バッテリーコーチだ。
「捕手としての課題は多い。今、しっかりやっているのはスローイング。楽をしようとするといくらでも楽をできてしまう。まだそれができてしまう年齢なんだけど、今後、プロで立場を確立して長くやっていくためにも細かい部分も含めてしっかりやってもらっている。キャッチングやインサイドワークもそう。打撃面などやることも多いけど、ロードでも時間を見つけてやるようにしている」