2018年ドラフト指名選手に見る各球団の補強方針 変えた球団、変わらぬ球団
大学生の即戦力中心のブレない西武、今年は大学・社会人中心だった鷹
◯中日 高校生3人、大学生2人、社会人1人
1位入札は高校の人気選手を敢然と指名してくじ引き辞さずという基本姿勢は変わらず、今年は首尾よく根尾を引き当てた。2位も東洋大トリオの一角・梅津晃大投手、3位の勝野昌慶投手は社会人とバランスよく即戦力を補強。根尾と勝野は岐阜出身と、地域性もバッチリだ。4位の石橋はDeNA5位の益子に劣らぬ強打の捕手、5位の垣越建伸投手は甲子園でも登板した左の本格派と、素材型もしっかり指名している。
◯阪神 高校生2人、大学生0、社会人3人、その他1人(育成1人)
ここ5年、圧倒的に大学生を指名してきたが、今回はゼロ。藤原、辰己を外してなお外野手にこだわって社会人の近本光司外野手を1位指名した。社高-関西学院大-大阪ガスと地域性もあり、福留、糸井のベテランの後継者を作りたい球団の思惑がはっきりしているが、近本は長打力よりも俊足好打タイプ。スラッガー不足のチーム事情とは少々違う選手を指名した印象だ。2位の小幡も知名度は高くないが、スカウトの眼力と伸びしろに期待。世代的に高校生中心かと思われたが、巨人と違い即戦力期待の選手を中心に補強してきた印象。
◯西武 高校生2人(育成1人)、大学生3人(育成2人)、社会人2人
投手力に課題があるとはっきりしているだけに、予想通り大学生の松本航投手を単独指名。人気の高校生野手には見向きもせず、一本釣りを好む球団の戦略もブレなかった。2位で素材のよさで高く評価されていた高校生の渡辺勇太朗投手を獲得し、山川、外崎の富士大野手のラインで佐藤龍世内野手も獲得。揺るぎないドラフト戦略が、指名選手からもくっきり見えた。
◯ソフトバンク 高校生2人(育成2人)、大学生2人(育成2人)、社会人3人
珍しく(?)高校生より大学生、社会人を補強した。小園、辰己を外して東洋大トリオの即戦力、甲斐野を補強。2016年に大学生の田中正義を1位で引き当てた際も、支配下2位~4位、育成6人全員を高校生で固めたが、今回は2位の杉山一樹投手も社会人、3位の野村大樹内野手でようやく高校生を指名した。とはいえ、大学生の6位・泉圭輔投手は粗削りな素材型。育成の看板を下ろしたわけではなさそうだ。