南海ホークス全盛期の立て役者・森下正夫を偲ぶ… 俊足好守で盗塁王&ベストナイン
怪我が多く、験直しに登録名を2度変更
アグレッシブな守備、走塁で知られたが、それだけに怪我も多く、アキレス腱を3度も断裂。しかし、その都度、奇跡的な復活を見せた。
鶴岡一人監督の回顧録には、アキレス腱を断裂した森下が、夫人の肩につかまりながら砂浜を歩いてリハビリをしていた、と書かれている。鶴岡監督は、森下のひたむきな姿勢に光明を見出したという。森下は名前を正弘(本名)、正夫、整鎮(のぶやす)と2回改めている。これも怪我、故障の験直しだったという。
鶴岡といえば「グラウンドにはゼニが落ちている」という言葉が有名だが、森下はこの言葉を肝に銘じて、どん欲に試合に出続けた。
15年間の現役生活で、1573試合4642打数1188安打50本塁打453打点315盗塁、打率.256を記録。盗塁王1回、ベストナイン2回、オールスター出場4回の功績を誇る。
引退後は中日、大洋、南海などでコーチを歴任。その後は鶴岡が創設した少年硬式野球のボーイズリーグの指導に当たった。
10月15日に逝去したスタンカ氏に次いで、南海ホークス全盛期を知る野球人がまた世を去った。
(広尾晃 / Koh Hiroo)