【日本S】「勝つ喜びを知ることが大事」―常勝ホークスを作り上げた王貞治の言葉
かつて王貞治監督が繰り返した言葉「頂点に立った者にしか分からない」
勝ち続けたソフトバンクだが、今季を象徴するかのようにこのシリーズでも故障者がまた相次いでいる。中継ぎの石川柊太投手が右肘を痛めて離脱。助っ人勢でもユリスベル・グラシアル内野手が第4戦、デスパイネが第5戦を欠場した。今宮健太内野手も第5戦は途中で退いており、工藤監督は「無理はさせられない」と話している。
ただ、アクシデントに屈しない強さが今のソフトバンクにはある。工藤監督は「選手たちの成長を感じます。シーズン2位という悔しさをもって日本シリーズを戦っていて、自分たちは絶対に日本一になるという思いをみんなが持っている。勝つために苦しいこと、つらいことも乗り越えてきた」と目を細めた。
かつて、まだホークスが弱小球団だった頃、当時の王貞治監督がよく言っていた。
「勝つ喜びを知ることが大事。1度勝ったらまた勝とう、同じ思いを味わいたいという気持ちになる。それは頂点に立った者にしか分からない」
ソフトバンクに息づく勝者のメンタリティ。ぶ厚い戦力という見た目だけではない真の強さが、このチームにはある。2年連続日本一まで、あと1つだ。
「早く決めたいという気持ちはあるけど、第6戦からはマツダスタジアムになる。あの熱気をしっかり受け止めて戦わなければならない。何かをきっかけに広島を勢いづけることになるかもしれないし、まずはこの1戦に懸ける思いで戦いたい」(工藤監督)
第6戦の先発はリック・バンデンハーク投手だ。同じマツダスタジアムでの第2戦に先発して5回5失点で敗戦投手となったが、最速157キロの直球を投げ込むなど状態自体は悪くないことをうかがわせた。
「シーズンの終わりから少しずつ状態は良くなっている。フォームのバランスもいい。広島は凄いファンで、みんな野球を楽しんでいる。素晴らしいファンだ。ただ、その雰囲気を経験しているのはプラスに働くと思っている」
激戦続きの「SMBC日本シリーズ2018」はどのような結末を迎えるのか。工藤監督が広島の夜空に向かって宙を舞うその瞬間まで、目の離せない熱い戦いは続いていく。
(「パ・リーグ インサイト」田尻耕太郎)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)