シーズンを駆け抜けたパ勝利の女神たち 私たちはなぜチアに?

チアの経験がゼロでも、この仕事が生きがいに

 入団1年目は、3か月間で開幕までに必要な全てのダンスを覚えるのはもちろん、MCのための話し方をマスターしたり、チアリーダーを育成するスクールのインストラクターになるためのトレーニングを受けたりと、慌ただしい日々を送った。慣れるまでは時間がかかったというが、一方でKANOKOさんの中に少しずつプロ意識が芽生えていったという。

「私が入団してすぐに東日本大震災が起こり、プロのチアリーダーとしてはじめての活動は被災地訪問でした。そういった活動の中でチアリーダーとは何かということをゼロから考える期間を過ごしました。与えられた仕事をただこなすのではなく、メンバー同士アイデアを出すなどしてコミュニケーションを取り能動的に動くようになりました」

 チアリーダーの経験が全くなく、プロ野球のチアリーディングチームに入った女性もいる。オリックスの「BsGirls」でリーダーを務めるCHALさんだ。それまで、歌とダンスを学んでいた彼女は、ダンス&ヴォーカルユニットとして活躍するという夢を抱いていた。そんなときに目にしたのが、オリックスのチアリーディングチームがavexとコラボレーションしてダンス&ヴォーカルユニットに生まれ変わるということと、そのオーディションが開催されるという情報だった。

 夢が叶うチャンスだと考えたCHALさんは、迷うことなくオーディションを受け、その結果、約50倍という狭き門を見事に突破。念願のダンス&ヴォーカルユニットの一員となった。

 しかし、チアの経験がないCHALさんにとって、最初は戸惑うことばかり。「立ち姿やポーズまで、以前のチアグループから続いていた細かいルールがあり、驚きました。でも、ダンス&ヴォーカルユニットとして生まれ変わるためにどうすればいいか、前チームから継続して活動するメンバーと話し合いを重ね、新しいユニットの形をみんなで作りあげていったことが、自分を成長させてくれました」と振り返る。

 初心者だったCHALさんも、今やリーダーとしてチームを率いる存在となり、自分たちで作詞を手がけたオリジナル楽曲で観客を楽しませている。そんな日々を過ごしているうちに、パフォーマンスを仕事にしたいという入団当初の彼女の思いは、いつしか自分たちのパフォーマンスで選手とファンをつなげる存在になりたいという思いに変わっていったという。

「活動を通じて球団を深く知り、選手たちが一生懸命に戦う姿や、そんな選手を応援するファンの皆さんの諦めない気持ちに心打たれました。このような仕事につけたことを幸せに思い、選手と一緒に戦いながら、チームが優勝することが今の夢です!」。

 同じように、福岡ソフトバンクのオフィシャルダンス&パフォーマンスチーム「ハニーズ」に所属するNAYONさんも、以前は全く野球に興味は無かったが、通っていたダンススタジオで練習している「ハニーズ」を見て、チアという存在を知った。そこから野球にも興味が沸き、野球が好きになったという。「自身がチアリーダーとして活動することで、チアを通して野球やホークスに興味をもってくれる方が少しでも増えたらうれしいです」と話す。

小学校からの夢が…

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