本塁打の滞空時間トップ5! パでもっとも長~く余韻を残したスラッガーは?
余韻にひたれる長い滞空時間の本塁打、ステイバックが強烈なアルシアのスイング
木製バットが乾いた音を響かせた瞬間、ボールは点にみえるほど高々と上がり、上空でゆるりゆらゆら距離を稼いだあと、観客席にスコーンと落ちてくる――。滞空時間の長い本塁打は、野球というスピードや効率が求められがちなスポーツにおいては珍しく“時(とき)”の余韻にひたることができるプレーだ。
プロ選手の本塁打の滞空時間は、バットに当たってからスタンドに落ちるまで4~5秒が一般的で、6秒を超えてくると飛ばすことに長けた者にしか到達できない“聖域”に入ってくる。
希少な醍醐味を提供してくれたパ・リーグの強打者は誰だったのか。7月16日から10月13日までに記録された本塁打から、滞空時間トップ5を紹介していこう。
関東一高時代に規格外の俊足で甲子園を沸かせた3年目のオコエ瑠偉(楽天)が、6秒50で5位に入った。
今季は打撃面で確固たる成績を挙げたとはいえず、芯でとらえた時と外した時の格差は激しいが、今シーズン2本塁打ながらトップ5に入ってくるあたりに潜在能力の高さを感じさせる。プロ入り直後から着手してきた打撃改造と肉体強化によって、ボールを上げて飛ばす技術とパワーを着々と修得しつつあることをタイムが示した格好だ。
身体能力はすでにメジャー級。精度が上がれば、いよいよ来年あたり覚醒するかも知れない。
4位は6秒55を記録したアルシア(日本ハム)。89試合の出場で14本塁打、打率.222、三振92と穴の多さが目立ったシーズンだが、メジャーリーグ通算44本塁打を誇るパワーヒッターの片鱗がうかがえるランクインである。
アルシアの一発の滞空時間の長さは、フォロースルーで体がキャッチャー方向に反り返る「ステイバック」といわれるフォームによるところが大きい。頭を残すことで、自然と高く上がる弾道を生み出すスイングの角度となる。
最近こそ、柳田悠岐(ソフトバンク)のように同種のスイングで活躍する日本人選手が出てきたが、日本では古くから「上から叩きつけなさい」とする指導が多かったせいか、現在もその数は少ない。だからこそ、アルシアのようなタイプが日本で成功するチャンスが秘められている。
11月7日に退団が発表されたが、まだ27歳と若いため、来年以降、再び日本でプレーする可能性もあるだろう。その時は、規格外の高弾道本塁打をまた見たいものだ。