来秋ドラフト候補の日本代表左腕・立教田中に独占インタ 「1年間マウンドに」
今夏の甲子園で注目したのは近江の左腕・林「自分と同じくらい体が細くて……」
現在はノースローの調整をし、ヒジの様子を見ながら年明けには投げ込みを開始する。
「来年は1年間投げ抜く強さ……体力というよりケガをしない体を作っていきたいです。そのために年内いっぱいは体作りに専念します。年明けに投げられるように、来月には体に負荷をかけた練習を徐々にやっていきたいです。あとは体を大きくすること。高校時代はなかなか体重が増えなかったんですけれど、大学で少しは増えました。だからもっと何キロも、という訳ではないですが、今よりはもう少し増やしたいですね」
今夏の甲子園では母校が2度目の春夏連覇を達成したが、母校とは別で実は田中が着目していたことがあった。
「近江に2年生の林(優樹)君っていう左ピッチャーがいて、すごく気になったんです。自分も2年生の夏に甲子園で投げていて、自分と同じくらい体が細くて……。被るところが多くて。コントロールがすごく良くてリズムよく投げていましたよね。ただ、今年の夏は特に暑かったから体を大きくしたくてもなかなかできなかったと思う。気持ちがすごく分かります(笑)」
その林が実は中学時代にセンバツで投げていた田中のマウンドを見て、緩急の使い方を学んだと話していたことがあった。体は小さくても、緩急の使い方とコントロールを磨けば全国の舞台でも通用する。林に限らず、夢を抱く小柄な左投手の活躍するための道しるべを田中は作っているのかもしれない。
そんな田中も来年はいよいよ大学ラストイヤーとなる。最上級生となり、副キャプテン、そして投手のリーダーにも就任した。「人としても一番上に立てるように。2年生の時に味わった優勝の喜びをまだ味わったことのない後輩に伝えられるよう、来年は1年間マウンドに立ち続けたいです」。
来年は、この秋の苦い経験があったから、と思える1年に。今、田中の心にあるのはメラメラと燃える闘志しかない。
(沢井史 / Fumi Sawai)