殿堂入り確実の名三塁手ベルトレが引退 早熟の天才、息長く活躍
レッドソックスでオールスター選出 レンジャーズで円熟味増す
契約満了後の2009年オフにボストン・レッドソックスと1年契約を結ぶ。ベルトレにとって2010年は背水の陣のシーズンとなったが、リーグ最多の49二塁打、28本塁打、102打点、打率.321(4位)と大活躍。初めてオールスターにも選出された。
翌2011年にテキサス・レンジャーズと5年総額8000万ドル(約90億2800万円)の契約を結んだ。レンジャーズでは打率3割を3回、30本塁打を4回、100打点も3回記録。打撃のベストナインであるシルバースラッガー賞も3回、ゴールドグラブ賞も3回受賞した。
レンジャーズの不動の三塁手、そして主軸打者として円熟味のあるプレーをした。若い頃に比べて精神的にも余裕が生まれたのか、この時期には同僚に頭を触られて怒りまくる演技をして笑いを取るなど、人間味も魅力となった。
チームは2015年にオプションを行使して契約を1年延長、さらに2016年に2年3600万ドル(約40億6300万円)で契約。2017年7月30日のオリオールズ戦では、イチローに次ぐ史上31人目の3000本安打を記録、契約満了の2018年をもって引退を表明した。
ベルトレのキャリアを見て思うのは、早いプロデビューのメリットだ。失敗しても再起の時間が十分にあった。レンジャーズと契約した時点でも、まだ32歳。レンジャーズでの8年間がなければ、ベルトレが大選手の仲間入りをすることはあり得なかった。
MLB21年の通算成績は2933試合11068打数3166安打477本塁打1707打点、打率.286。本塁打王1回、最多安打1回、シルバースラッガー賞4回、ゴールドグラブ賞(三塁手)5回。特筆すべきは2008年、2012年、2015年と3回サイクル安打を記録していることだ。
またドジャース(147本)、マリナーズ(103本)、レンジャーズ(199本)と3球団で100本塁打以上を記録している。
三塁手としての出場試合数はブルックス・ロビンソンの2870試合に次ぎ、MLB史上2位の2759試合を記録した。
そして、ベルトレはドミニカ共和国出身選手では最多安打も積み重ねた。
〇ドミニカ共和国出身選手安打数5傑。※は現役。
1 エイドリアン・ベルトレ 3166安打
2 アルバート・プホルス 3082安打※
3 ウラディミール・ゲレーロ 2590安打
4 フリオ・フランコ 2586安打
5 マニー・ラミレス 2574安打
最多安打は今後、プホルスに抜かれる可能性があるが、有資格1年目での野球殿堂入りが確実視されている。現代の名三塁手の名前は、MLBの歴史に深く刻まれるだろう。
(広尾晃 / Koh Hiroo)