142試合目で消えたCS進出 2018年、DeNA選手&関係者の「REAL」な声
言葉がDeNAの力の1つになっていた?
今時、ドラマや映画でも聞けないような、青くてクサイ台詞もある。自戒や後悔の念が、切なさを感じさせる。だが、そこには何の脚色もない、まさにリアルがあるからダイレクトに響いてくる。
「みずからの手で掴み取る」
シーズン前からラミレス監督をはじめ、チーム関係者がことあるごとに口にしてきたセリフ。ポジションも試合出場機会も、そしてタイトルも。すべては自分自身で勝ち取るしかない。18年、頂点への道は惜しくも手のひらからこぼれ落ちてしまったが、最後の最後まで懸命に戦い抜いたDeNAは、必ず大きなものを「掴み取っている」はずだ。
主力選手の故障や不調でシーズン序盤から苦戦続きだった。その中で希望を、夢を、紡いできたのは言葉の力だったと、この映画には感じさせる。時に言葉は人を楽しくさせ、明るくさせ、優しくさせ、前向きにさせる。それらは心を揺すぶり、熱くさせ、行動への強い原動力となる。口に出せば霊が宿って現実となる、古来から伝わる「言霊」。それこそがDeNAの力の1つになっていると思えるのは気のせいか。
タフで長いシーズン、バックステージでのやり取りはもちろん、「言葉」にも是非注目してほしいドキュメンタリー映画である。DeNAファンのみならず、すべての野球ファン、スポーツ好きにオススメしたい。
「FOR REAL」は2018年12月14日から神奈川県を中心に、全国で劇場公開される。
(山岡則夫 / Norio Yamaoka)
山岡則夫 プロフィール
1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。