【肘と野球】大人が整えたい子供の適切な練習環境 成長を妨げる過度の疲れとストレス
過度の負荷がかかると軟骨が硬くなり成長がストップ
「成長期の子供は、骨の年齢と実際の年齢に大体±2歳ほどの差があります。成長の早い子と遅い子がいるので、例えば小学6年生の場合、小学4年生くらい体の小さな子がいれば、中学2年生くらい大きな子もいる。また、4月生まれの子と3月生まれの子では、同じ学年でも体格差が生まれてしまいます。
そう考えた場合、学年や年齢を基準にすると、いい選手・悪い選手という判断が、技術差ではなく体格差から生じている可能性がある。体の大きさに注目して練習の負荷を変えるのも1つの方法ですね。体の負担に配慮することが大事です」
発育期の骨の端には「骨端線(成長線)」という成長をつかさどる線状の軟骨層がある。軟骨が普通の骨に成長すると骨端線は消えるが、この状態を「骨端線閉鎖」という。骨端線が存在する限り、骨が伸びる可能性はあるわけだが、強いストレス=負荷がかかりすぎると骨端線が早く閉じる傾向にあるという。
「左右の肘の骨を比べた場合、ボールを投げている腕の方が先に骨端線が閉じる傾向にあるんです。骨端線に過度の負荷がかかると、早く軟骨から硬い骨に変わってしまうんですね。つまり、それ以上が骨が伸びなくなる。左右の腕の長さが大幅に変わることはありませんが、過度の練習は腕や脚、あるいは身長が伸びる成長の可能性を奪うことになりかねません」