球団OBが参加することも… 効率良く回れるツアーはキャンプの賢い楽しみ方

練習試合などはバックネット裏の特別席で観戦も

 また、サブグラウンドや多目的広場などで、選手との記念撮影やサイン会が行われることもある。一般のファンの場合、選手との接触は時間が限られ、サイン会も長い行列ができることがあるが、ツアーではしっかり時間と場所が確保されている。ツアーによっては、事前に選手がサインをした色紙が配られる場合もあるが、やはり「その場でサインをしてほしい」という要望が多いようだ。

 選手との記念撮影やサイン会の際には、チームのOBが現役選手を紹介することも多い。「この選手に注目してください。来年にはオールスター戦に出ると思いますから」と若手選手を紹介するなど、ファンの期待感を盛り上げている。

 午後は練習試合などを観戦するメニューが多い。その際もバックネット裏の特別席が用意される。ただ、試合が長引いた場合は、スケジュール通りに動かなければならないため、観戦を切り上げることもある。ツアー客の中には試合を最後まで見られず、「ちょっと残念」と思う人もいるようだ。

 ホテルに戻ると、ディナーショーが開催されるツアーも多い。球団OBが今年のチームの特色を紹介したり、球団歌を全員で合唱したり、参加するファンの一体感が高まる時間だ。翌朝は、観光地を巡るフリープランになっている場合が多く、ツアー客は買い物を楽しんだ後に帰路に就く。

 話を聞いたツアー客の中には「友人に誘われてツアーに参加したが、キャンプ地を回ってディナーショーを楽しんでいるうちに球団のファンになってしまった」という人もいた。

 プロ野球の春季キャンプは日程が決まるのが遅く、特に休養日は天候によって直前に変更されることもある。このために旅程を組むのが難しく、ツアーの本数自体は多くない。

 本拠地からのツアーが大部分だが「確実に選手とふれあえる」という点では、ツアーへの参加は「賢い楽しみ方」だと言えるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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