岩瀬氏、引退後の5か月間は「心にぽっかり穴」 不世出の鉄腕が最後に語ったことは…
「今日だけは楽しくマウンドに上がることができました」
第一線から退き、トレーニングの必要もなくなった。その5か月間を岩瀬氏は「ポッカリと穴が空いたまんまで。気持ちがラクになるのかと思っていたけど、穴が空いたまんま過ごしていますね」と語る。解説者として今後は活動していくことになるものの、「(今後の目標?)まだ前に進んでいないですよね。これからゆっくり時間かけて前を向いていかないといけないけど。20年間やってきたことへの重みを取らないとと思うけど、取れない、そんな感じですね」と語り、苦笑いした。
試合後に行われた引退セレモニー。2007年の日本シリーズで“完全試合リレー”を完成させた山井大介投手、そして「ワールドウィング」代表の小山裕史氏、中日OBの山本昌氏から花束を贈られた岩瀬氏。涙を浮かべながら、挨拶し、20年間の思いを吐露した。
「プロに入って20年が経ちましたが、ずっとマウンドに上がる時は同じ気持ちでした。一番最初に打たれて、プロの怖さを知り、それからずっと、マウンドに上がるのは怖い日々でしたが、マウンドに上がってその怖さを振り払って投げることができるようになってからは、自分の投球ができるようになりました。ずっとそのマウンドに上がるのが、怖かったんですけど、今日だけは楽しくマウンドに上がることができました」
「怖い」と思いながらも、ひたすら上がり続けた20年間、1002回ものマウンド。59勝51敗407セーブ82ホールド、通算防御率2.31の成績を積み上げてきた。今後、これを超えるだけのリリーバーはおそらく出てこないのではないか。不世出の鉄腕・岩瀬仁紀はきょう、ユニホームを脱いだ。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)