バット改良、オフの節制…ヤクルト青木が後輩・田中氏に語った本音【青木宣親・田中浩康対談・前編】

バットを改良して今シーズンに挑む青木「日本人よりメジャーの打者のバットの方が軽い」

 青木「そうだね。バットも変えたしね」

 田中「バット? 変えたのですか?」

 青木「変えた。昨年のバットだと、あれが限界かなと思った。もう少しできるという思いもあった。やっぱりバットってすごく大事だなと感じる」

 田中「言える範囲でいいので、どんなバットなんですか?」

 青木「インディアンスにリンドーアというショートのバッターがいるんだけど、よく対戦した。左右両打で、昨季も40発近く本塁打を打っていて、背丈も俺よりちょっと高いくらい。本当にバランスがいい。こういうバッターがいいなと思って」

 田中「リンドーアはどんなバットを使っていたんですか?」

 青木「そう思って、取り寄せた。そこからの始まりで、使ってみたら、結構、自分に合った」

 田中「今までのタイプとは全然違うのですか?」

 青木「どちらかというと、アメリカの時に使っていたバットと似ているかも。昨年のバットを使っていて、もっと強く打ちたい、もっとヘッドが立つようにしたいなと思った。ヘッドを立てて(投手のボールの強さに)負けないようにしないといけないな、と。その状況を作りたかったから。もともとバットを(新しく)作りたいなと思っていた中、それを使ってみたら、今までよりバットのヘッドが立った」

 田中「形状としてはどのようなものですか?」

 青木「今までに比べると中間が太い感じ」

 田中「金属バットのようなイメージですか?」

 青木「似ているかもしれない。向こうのバッターは結構そういうのを使っている人が多い」

 田中「ヘッドが立ちやすいんですかね?」

 青木「中間の太いものが、立ちやすいかはわからないけど、メジャーのバッターは(先端が)くり抜かれているのが多いね」

 田中「くり抜きの方がヘッド落ちないからですか?」

 青木「そう。重くないからね。重いバットの方が飛ぶというのは間違いだと自分では思っている。メジャーの打者ってボールを遠くまで、飛ばせるでしょ? あれはヘッドが立って、前にバットが伸びる、フォロースルーが出やすいからだと思う。バットが重い方が飛ぶって日本では言われる。当たったら重い方が反発は大きいから、物理的にはバットが重い方が飛ぶとは思う。ただ、パワーというのはヘッドスピードと重さから生まれるものだから、10g重くするのだったら、その分、しっかり強く振れるものを選んだ方が、たぶんボールは飛ぶんじゃないかなと考えた。実は、日本人よりもメジャーのバッターの方が軽いバットを使っているからね」

 田中「えっ!? そうなんですか?」

 青木「あんな屈強なのに。それを知った時は衝撃だった。メジャーで7球団行ったけど、みんなのバットを全部、計ったからね。統計も取ったから、間違いない!」

 田中「へぇー。すごいですね」

 青木「あの時、思った。日本にいた時、910g使っていたのは重すぎたって。チームメートは、みんな800g台だった。880gとか。870gもいる。860gなんている人もいたから驚いたよ。“カラーバット理論”だよね」

 田中「子供が使うカラーバットのことですよね?」

 青木「そう。だって、大人が振ったら、速いでしょ? あの理論。そこまで軽いのはだめだけれど(笑)」

 田中「操作性も上がるし、スイングスピードも上がりますね」

 青木「あれだけ軽かったら、ヘッドが寝るわけない。要はそういうことだと思う」

オフの節制がシーズンを支える 衝撃を受けた元同僚・イバネスの思考

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