「福島の歴史を変える」―甲子園19度出場の名将が学法石川にもたらす変化

選手の意識に変化「チーム全体で負けない野球をしたいです」

 仙台育英では毎年、四字熟語のテーマを設定していたが、今年のテーマは「これから」を意味する「From Now On」と英語バージョンに。これは選手たちにも見せ、佐々木監督自身が感銘を受けた映画『グレイテスト・ショーマン』のラストの劇中歌だ。

「テーマをしばらく考えていて。これからだよな、過去じゃないよなと思い、これから、これから……と思ってひらめいた。これはずっと使えるものでもあるので。試合中も使える。『これからだよ』と。試合も今日、始まってこれから、とも」(佐々木監督)

 そして、約束事として「SRC」も掲げる。「S」はSmile(笑顔)、「R」は Response(反応)、「C」はChange(変化)だ。「まだ笑顔を作れない選手もいるが、スマイルは難しい。でも、そのスマイルがうまくなったら反応が良くなって、そしたらみんな、変化しているだろう、と」と佐々木監督。「From Now On~これからは~」と「Smile笑顔 Response反応 Change変化」の幕はグラウンドのバックネット裏に、そして佐々木監督の2大モットーである「運命を愛し、希望に生きる」「本気になれば世界が変わる」の幕は外野フェンスに貼り、常に目に留まるようになっている。

 練習試合用のセカンドユニホームを新調し、本格的なシーズンイン。選手たちはこの日の試合を「楽しかった」と口にした。負けなかったこともあるかもしれないが、これまでの充実した日々もプラスされているだろう。そして、それらは桑山主将の「福島の歴史を変えるためにやりたい」や藤原の「夏に甲子園に行けるように自信をつけていきたい」という言葉からも感じられる。

 ウォーミングアップやトレーニングなど、全員で行う機会も増えたとあって、竹本は「チーム全員で戦って、1つの方に向かって、最後はいい思いをして終わりたい」と言う。横山は意識が変わったようで、「今までは自分が良ければ勝てると思っていたんですけど、いろんな役目があって、いろんな仲間がいろんなことをして勝てるんだなと最近、分かってきました。前まではそんなに野手を頼りたくないと思っていたんですけど、野手に頼ってもいいんじゃないかと思ってきて。なので、チーム全体で負けない野球をしたいです」と語る。

 これまでのスタッフが作り上げてきたものに、佐々木監督のエッセンスが加わり、新たな「学石野球部」へと進んでいっている。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY