投手の「華」奪三振、“奪空振り三振王”と“奪見逃し三振王”は誰? 意外な名前も…
見逃し三振の割合の多さは岩崎、岩貞ら阪神勢の名が上がる
○2018年奪空振り三振割合ランキング
金子千尋(オ) 94.4%
松井裕樹(楽) 93.4%
モイネロ(ソ) 91.2%
公文克彦(日) 90.4%
増井浩俊(オ) 88.4%
澤村拓一(巨) 87.0%
野上亮磨(巨) 87.0%
多彩な変化球を駆使して投球するイメージの金子ですが、72奪三振のうち、見逃し三振はわずか4個でした。日本ハムに移籍した今季は、金子弌大に登録名を変更して心機一転。先日のMLBアスレティックスとのプレシーズンゲームでは、4イニング18人の打者から空振り5、見逃し4という割合で計9個の三振を奪い、先発ローテの一角を担うにふさわしい活躍を見せました。松井は91奪三振のうち見逃し三振は5。ストレートでも空振り三振を奪える貴重な存在です。
○2018年奪見逃し三振割合ランキング
岩崎優(神)38.6%
田口麗斗(巨)38.3%
岸孝之(楽)37.1%
岩貞祐太(神)33.6%
野村祐輔(広)33.3%
パットン(De)32.8%
秋山拓巳(神)32.6%
阪神の選手の多さが目立つランキングとなりました。岩崎は70奪三振のうち見逃しが27個、秋山も89奪三振のうち29個が見逃しです。コントロールと巧みなコーナーワークによって見逃し三振を多く奪っていることが伺えます。またマスクを被る梅野隆太郎、坂本誠志郎が、フレーミング技術に長けているものと見ることもできるかもしれません。
なおオープン戦3月21日時点での奪三振ランキングと空振り三振、見逃し三振の割合は以下の通りです。
上沢直之(日)24 空振り16(66.7%)見逃し8(33.3%)
今永昇太(De)22 空振り16(72.7%)見逃し6(27.8%)
床田寛樹(広)19 空振り13(68.4%)見逃し6(31.6%)
菅野智之(巨)16 空振り14(87.5%)見逃し2(12.5%)
大瀬良大地(広)16 空振り14(87.5%)見逃し2(12.5%)
榊原翼(オ)15 空振り11(73.3%)見逃し3(20.0%)
床田、榊原といったプロ入り3年目の新進気鋭が上位に入っており、開幕ローテーション入りも確実視されています。
鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。