野球少年に大人気、野球YouTuber・トクサンとは? 力不足と悔しさ知った高校時代 インタビュー【前編】
「野球はやれると思ったらどこまでも続けていってほしい」
「就職氷河期で、指名されなかったら社会人へ、というのが許されるのは上位指名の選手くらい。その枠がおさえているくらいで、僕らはドラフトを待つのか、初めから社会人でお世話になるのか、どっちかにしてくれということが多かったです。ドラフトが終わった後に野球部の枠はないので、すぐに就職活動をして、一般企業に入りました」
プロ野球選手への夢を諦め、警備会社に入社した。その後、大学の先輩らからトクサンが野球を辞めることを聞き、「なんで続けないんだ」とその才能を惜しむ声があったが、その時はもう遅かった。
「もう心が(野球を辞めると)切り替わっていたので、働こう、と思いました。都市対抗野球を見て、『ここでやりたいな』と思っていたのに……」
名門だった社会人野球チームがなくなる時代に生きてきた。独立リーグからプロへという道が今のように多ければ、また違った野球人生があったのかもしれない。
野球をする人を応援する立場になり、伝えたいことがある。
「野球はやれると思ったらどこまでも続けていってほしいですね。やれる環境は日本だけでなくアジア、オーストラリア、野球途上国でもある。納得いくところまでやってほしいです。終わりだなと思ったのなら、それでも草野球も続けてほしいです。僕は草野球で最高に楽しい思いをしていますから」
プロを目指すための野球は、志半ばで終えた。もっと情報を集めて、続けるために所属先を探せたかもしれない。しかし、気持ちをもう取り戻すことができず、トクサンは不完全燃焼のまま、社会人生活をスタートさせた。
(後編に続く)
トクサン プロフィール
本名・徳田正憲 1985年3月18日、東京都大田区出身。34歳。小学校3年の時にソフトボールを始める。帝京高、創価大で野球を続ける。卒業後は一般企業に就職しながら、クラブチームで野球を続けるなど、今でも草野球へ情熱を燃やしている。2016年に始めたYouTube「トクサンTV」が大ヒット。チャンネル登録数39万人。再生回数は2億3000万回を突破。3月4日に著書「トクサンTVが教える新・バッティング講座」を発売。好きな食べ物は、ハンバーグと小籠包。好きな選手は仁志敏久(元巨人)、源田壮亮(西武)
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)