「弱さ」と戦った巨人ドラ1左腕との記憶 大学恩師がプロ初勝利に感じた変化とは

「成功体験も大事だけど、失敗体験も捨てちゃいけない」と高橋へエール

 学生野球ラストゲームとなった、ドラフト直後の明治神宮大会の東北地区代表決定戦でも1-0から逆転を許して敗れた。5回で8奪三振を奪いながらも7安打されて2失点。走者を背負った場面で踏ん張り切れなかった。試合後、正村監督は「今までやってきたことだけでは通用する世界じゃないと思いますから、すべてにおいてレベルアップして、長く野球をやってほしい」と話した。

 あれから5ヶ月以上が経ち、プロ初マウンドを踏んだ高橋。初回、2死一、二塁というピンチを背負い、福留を迎えた。カウント2-2から投じたのは外角へ逃げるスライダー。福留のバットは空を切った。「自分から断ち切ったので、『いける』と思ったと思う」と正村監督。空振り三振でピンチを脱し、無失点で切り抜けた姿に成長を感じた。

「(学生野球引退後も)『練習をしろ、しろ』って言ってきたからね。それを乗り越えて怪我なくキャンプに行ってくれて、キャンプ中もシートバッティングで投げて新聞の一面を飾ったりした。いいところで投げさせてもらって、バッターたちが打ってくれて、59年ぶりの(大卒新人)初登板初先発初勝利って、すごいじゃない! ちゃんと順を経て、結果を出している。それはすごい、上等でしょ。プロに入っていい指導者や先輩と出会って、どんどん吸収して成長しているのかな。あいつの素直さとか一生懸命さとか、みんなが認めてくれて、受け入れてくれて、ああやって打ってくれたりするのかなと思いますね」

 打線の援護を受け、6回4安打5奪三振1失点と好投し、初白星を手にした。正村監督にとっては東海大の先輩でもある原辰徳監督や同じ左腕の宮本和知投手総合コーチらのもとで力をつけ、学生時代とは違った姿を見せた高橋だが、そのベースには「弱さ」と戦った正村監督との4年間がある。

 球団として59年ぶりとなる大卒新人の初登板初先発初勝利という快挙を成し遂げ、ステージはまた1つ、上がる。

「どんどん、力をつけていかないと。簡単に打ち取れるわけがないから、プロの世界。これから先、バッターが慣れてきて、球筋が見えてくる。成功体験も大事だけど、失敗体験も捨てちゃいけない。嫌なイメージを払拭していくための練習とかもやっていかないといけないんじゃないかな」

“失敗のススメ”を説きながら、プロの階段をしっかりと上っていくことを八戸から願っている。

(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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