“令和の怪物”大船渡・佐々木はなぜ投げずに敗退したのか 国保監督が思い語る

「ワンマンチームになりそうなんですが…誰が出ても、勝つことができるようにしたい」

「ワンマンチームになりそうなんですが……誰が出ても、勝つことができるようにしたいんです。そのために技術を高めていかないといけない」

 夏の大会を勝ち抜いていくために、もう1人の投手の柱を作らないといけない。そんな思いが駆け巡っていた。ただ、一方で勝ちも求めていかないといけないスポーツであることも、分かっている。

 周囲の期待と、夏をにらんだチーム作り、そして金の卵の明るい未来――。「酷使」というキーワード……。指揮官の頭の中は、今、選手たちのことでいっぱいだった。

 4番で4打数1安打だった佐々木は試合後「チャンスで1本が出なかった。自分たちの弱さです」と登板しなかったことよりも、チーム力の弱さを口にした。指揮官の考えは分かっていた。

 佐々木を投入して、最後に勝ちを拾い、県大会で実力をつけていくこともできたはずだ。しかし、それをせずに、もう1人の投手に経験を積ませることを選んだ。指揮官は、ナインが1点を争う延長戦を戦えたことで何を得られたか、どのように夏に向けて変化していくかにも、期待をしていた。

 選んだ選択が正しかったかどうかは、これからの夏、球児たちの未来で証明される。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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