MLB欧州初開催の歴史的一戦は大盛況 「謎だらけなスポーツ」が成功した理由

スタジアムには各球団のユニホームを着たファンの姿があった

 わずか1か月間でロンドン五輪のメインスタジアムを野球場に改装したことが話題になったが、さてはて試合当日、スタンドは一体どんな雰囲気になるのだろうか。試合前、欧州史上初のMLB公式戦に対する興味は、ヤンキースとレッドソックスという主役が演じる試合そのものより、見る側のロンドンっ子の反応に集まっていた。

 しかし、結果を先に書いてしまうと、2日間のロンドン興行は大成功に終わった。ご存知のように、試合内容は初戦が17-13、第2戦も12-8でヤンキースが連勝するという、大味もここに極まりの大乱打戦となった。ところがこの試合内容も含め、ロンドンっ子は大いに盛り上がり、史上初の欧州MLB公式戦を満喫したのである。

 初戦当日の6月29日は、ロンドンでも珍しい摂氏34度の真夏日の晴天となり、五輪跡地に作られたビクトリア公園と隣接し、また様々な野球イベントも開かれたこともあって、6時プレーボールの3時間前の時点でロンドンスタジアム周辺は多くの人だかりとなった。

 その客層に目を向けると「ブルージェイズ」「オリオールズ」「インディアンズ」「フィリーズ」「カージナルス」「アストロズ」等々、ラングドン記者の言葉通り、MLBの様々なチームのユニフォームが集結していた。また野球国から日本人、韓国人のファンの姿も見えた。しかしそれは良い意味でお祭りムードを醸し出し、オールスター戦の雰囲気を生み出していた。

「フィラデルフィアに住んでいた時に野球に出会った」と話してくれたのは、ロンドン郊外ケント在住のサイモン・パウエルさん。実際、初戦と第2戦の2日間で30人の観客に話を聞いたが、サイモンさんのようにアメリカ在住体験のある人が12人もいた。またアメリカ旅行中に生で野球を見たという人が6人を数えた。

 考えてみれば英国はアメリカから見て、最も近い欧州国。人の行き来は多く、アメリカで本場の野球を体験したという英国人が大勢いたとしても全く不思議はない。

両軍点を奪い合う大乱戦にもファンは熱狂、ブーン監督は「観客席はエネルギーに溢れていた」

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