ロッテ鈴木は主軸を務める“スーパーユーティリティ” 過去には真弓、木村拓らが活躍

ロッテ鈴木以外にも西武外崎、オリックス大城など複数ポジションでレギュラーとして出場

○草野大輔氏(元楽天)

 草野氏は社会人野球時代には日本代表としても活躍するなどアマチュア屈指の好打者として鳴らし、2005年のドラフトで楽天から指名を受けてプロ入り。29歳と遅いプロ入りながら、攻守の両面で器用さを発揮。プロ2年目の2007年には二塁、三塁、遊撃の3ポジションで先発出場を経験し、規定打席未満ながら119試合で打率.320の好成績をマーク。31歳にして主力の座に定着すると、その後も社会人野球での実績が伊達ではなかったことを証明していく。

 2009年には二塁、三塁、左翼、右翼と内外野の4ポジションで先発出場し、122試合に出場して自身初となる規定打席にも到達。打率.305、7本塁打、54打点と活躍し、創設以来初となるチームのAクラス入りにも大きく貢献した。2007年から2010年まで4年連続で110試合以上に出場し、先述のリック・ショート氏と同様に、発足後間もない時期のチームを主力野手として支えた。

 2011年のシーズンも一塁、三塁、左翼の3ポジションで先発して計92試合に出場するなど、34歳となっても変わらぬユーティリティ性を発揮し、現役生活を通じて捕手と中堅手を除く野手の6ポジションで先発出場を経験。30歳を目前にしてのプロ入りということもあり実働期間は7年間にとどまったが、その天性の打撃センスと多くのポジションに対応する汎用性は、選手層の薄い当時のチームにとっては欠かせないものだった。

 昨年までの貢献度の高さに加えて、開幕時に一旦は定位置を失いながらも献身的な姿勢で再び主力の座へと這い上がったというストーリー性もあり、今季の鈴木は多くのファンからこれまで以上に熱い声援を受けている。このまま活躍を続けて自身初の打率3割やキャリアハイの成績を達成できるかに注目が集まるところだが、パ・リーグには鈴木以外にも、チーム状況によっては「スーパーユーティリティ」となれるだけのポテンシャルを秘めた選手たちが存在している。

 昨年でいえば、外崎修汰内野手(埼玉西武)や大城滉二内野手(オリックス)、ジュリスベル・グラシアル内野手(福岡ソフトバンク)といった面々が、内外野の複数ポジションをこなしながら主力として出場を続けた実績を持っている。鈴木も含め、高い打撃力と守備面での万能性の双方でチームに大きく貢献する好選手たちの存在は、チームにとっても不測の事態を解決するための助けとなりうる、非常に重要なものとなっているはずだ。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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