【あの夏の記憶】目標は「打率8割」 大阪桐蔭・西谷監督がプロを見据える藤原恭大に挑んだワケ
「自分はそこまで努力したって言えないです」
大会を通じての打撃成績は26打数12安打3本塁打11打点、打率.462。北大阪大会では打率.636(22打数14安打)を記録したのだから、4番としての責務は十分果たした。と言えそうだが、プロになるため大阪桐蔭への進学を選んだ藤原に、西谷監督が与えた目標は「打率8割」だった。
「言われました(笑)。全然無理でしたけど」
ジョークかと思うような高い目標だが、高校野球のその先、プロでの活躍を目指していた藤原は「現状に満足せずに、次のステージはずっと意識してやっていました」と大きなモチベーションとなったようだ。
「まだまだやぞ」とハッパを掛け続けた西谷監督は、「日本一になるためには日本一の練習をしなさい」と部員に説いたという。量だけではなく質にもこだわる。「キツイだけじゃなくて、中身も日本一の練習をしてきた自信がある」と藤原は胸を張り、周囲もその努力を称える。同時に、高いレベルで切磋琢磨できる仲間がいた運にも恵まれた。根尾の存在だ。
「自分はそこまで努力したって言えないです。自分より練習する根尾を見てきたので。根尾は別格です」
自身について「負けず嫌い」「土台はブレないけど、いい方にも悪い方にも流されやすいタイプ」と評する藤原にとって、根尾は最高の好敵手となった。
「チームで一番上手かった根尾があれだけ練習していたら、自分だけじゃなくて他のメンバーにも刺激になります。自分はライバルとして思っていましたし、プロに行くためには根尾(に負けられない)とずっと考えてやっていたので、本当にいい刺激というか、いい影響を与えてくれました」
今年の「プロ野球フレッシュオールスターゲーム2019」先発メンバーの中には、ウエスタン選抜に根尾、イースタン選抜に藤原の名前があった。近い将来、二人が揃って1軍のオールスターメンバーに選ばれる、そんな日がやってきそうだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)