奇跡のバックホーム再現で松山商OB右翼の投げた球は…今も続く熊本工との絆

試合だけでなく延長10回一死満塁の決勝戦の場面が用意され、注目が集まった

「最後にはもうネタでしかないんですけど、MCの方が、あのプレーを再現しよう、という流れになりまして……」

 矢野さんが右翼に入り、星子さんが三塁走者となった。打者もあの延長10回裏と同じだった。熊本工の本多さんが見事なライトフライを上げた。それを矢野さんがキャッチすると、星子さんがスタートを切った。結果は……。

「ファーストまで、届いたかな……という球しか投げられなかったんです(苦笑)」

 クロスプレーとはならず、星子さんが悠々と生還。今回はアウトにできなかった。笑いや感動、さまざまな思いが駆け巡った両校のOB戦。再戦を約束し、宴は終わった。矢野さんは次回、愛媛・松山で開催したいとプランを明かした。

「せっかく、つながっていますし、野球を通じてもらった縁は一生。大事な縁をまた形にして5年後なのか、10年後なのか、母校か甲子園に出場する時なのか……その時、(澤田)監督、いくつだろう……ノックが打てるかな。またやりたいなと思っているので、常に(開催の)タイミングを見ています」

 仲間と一緒に高校野球をやっている時間は短い。あっという間に2年半は過ぎてしまうが、松山商と熊本工の結び目は、時間の経過とともにさらに強固なものになっていた。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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