奇跡のバックホーム再現で松山商OB右翼の投げた球は…今も続く熊本工との絆

96年夏の甲子園決勝で「奇跡のバックホーム」を演じた松山商OBで愛媛朝日テレビの矢野勝嗣さん【写真:編集部】
96年夏の甲子園決勝で「奇跡のバックホーム」を演じた松山商OBで愛媛朝日テレビの矢野勝嗣さん【写真:編集部】

愛媛朝日テレビ、営業局営業部副部長の矢野勝嗣さん【第3回・再戦編】

 1996年夏の甲子園決勝を戦った松山商(愛媛)-熊本工(熊本)。決勝戦は、松山商が延長11回の熱戦を制した。同点の延長10回裏、1死満塁で迎えたサヨナラの場面。熊本工の3番・本多大介さんが放った右翼への大飛球を捕球した松山商の右翼手・矢野勝嗣さんが、三塁からタッチアップを狙った星子崇さんを本塁でアウトにしたプレーは「奇跡のバックホーム」として、高校野球史に語り継がれている。2016年の11月には熊本地震の復興支援で再戦が実現。現在、愛媛朝日テレビに入社し、営業局営業部の副部長となった矢野さんは「今度は松山でやりたいですね」と意欲。両校OBの絆は今でも強い。

 復興試合は藤崎台球場(リブワーク藤崎台球場)で行われた。矢野さんが当時の優勝メンバーに声をかけ、愛媛から熊本へ向かった。

「以前から(熊本工OBの)星子くんとつながりがあって、地震が起きたときに『何かできることはないか? 協力できることはないか?』と聞きました」

 星子さんから返ってきた言葉は、メンバーを集めて、熊本に来てほしい――。復興試合の企画だった。約500人の観客が来場し、記念Tシャツやタオルの売り上げの一部を義援金として寄付した。

 あの決勝戦から20年が経っていた。矢野さんをはじめ、松山商のメンバーは到着するまでは「どんな感じになるのだろう」「僕らみたいな素人が行って、力になれるのだろうか」と不安だったという。

「そうしたら、(メンバーやスタッフ、スタンドから)よく来てくれた! と声をたくさんかけてもらいまして。僕らが『頑張ってください!』と言いに来たのに、勇気づけられてしまいました」

 ファンも喜ぶ再戦は9-8、今度は熊本工が接戦を制した。これだけでは終わらなかった。

試合だけでなく延長10回一死満塁の決勝戦の場面が用意され、注目が集まった

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY