日ハム宮西「仲良しこよしじゃダメ」怒りの“グラブ投げ”に込めた思いとは
日本ハム宮西は8日オリックス戦で5年ぶり40ホールドを達成 プロ入りから12年連続50試合登板以上のパ新記録
泥沼の8連敗を脱した日本ハムが6日からのオリックス戦で3連勝と息を吹き返した。すでに入団から12年連続50試合以上登板のパ・リーグ記録を更新していた宮西尚生投手は、この3連戦で2ホールドを挙げて今季リーグ断トツの40ホールドに到達。左肘の手術明けにも関わらず、日本一に輝いた16年の41ホールドを上回るキャリアハイと3度目の最優秀中継ぎ投手のタイトル獲得がはっきり見えてきた。チームを支える鉄腕に、チームへの思いとこれから目指すものについて聞いた。
8月24日オリックス戦(京セラドーム)以来2週間ぶりとなるホールドは格別な味だった。チームは8月に球団ワーストタイ記録となる20敗を喫する大失速。連敗続きの中で、これまでいかに自分が恵まれていたかを痛感したという。
「負けている時に投げて、初めて俺らは状況を与えられて、生きているんだと思った。負けている時には何も力になれない。リリーフは(味方が奪った得点を)守ることしかできない。チームを勝たせることはできないから。チームがあって、勝ちにつながる。周りに生かさせてもらって、投げ続けているんだと改めて思った」
勝利に貢献できないもどかしさから4日のロッテ戦(ZOZOマリン)では怒りを爆発させた。1点リードの8回に登板し、横尾と渡邉のエラーで同点になると思わず天を仰ぎ、ベンチに戻るとグラブを叩きつけた。冷静に修羅場をくぐり抜け、一喜一憂しないことを信条とするベテランがこれまでに見せたことのない姿だった。
「やっとチームに貢献できると思ってマウンドに行って、同点になって……。正直、自分が何もできない、出ても貢献できないもどかしさがあったし、チームの消極的な雰囲気にも我慢できなかった。(グラブを叩きつけた)あの態度は反省している。あんなに怒りが収まらないのは初めてだった」
ベンチが凍り付いたように見えたが、あの試合後3連勝。別チームに生まれ変わったかのように投打がかみ合い、引き締まった試合をしている。あの無言の“喝”が効いているのではないだろうか。
「今はピリッとして集中力がある。負けていた時の雰囲気とは違うよね。自分たちはいつもブルペンにいて、一歩引いてモニターで見ているから、マウンドに上がった瞬間に、球場の雰囲気とかグラウンドの空気感というものをすごく感じる。負けていた時はボワッとした感じだった。チームを鼓舞する意図があった? 美化すればそうなるかもしれないけど。見られていることは分かっていたからね。ただ、あれでどう変わるかは分からなかった。もしかしたら雰囲気が悪くなるかもしれないから、試合が終わった後、すぐに監督に謝りに行ったよ」
負け続けて誰もがもがき続ける中で、宮西自身も現状を憂い、何とか突破口を開きたいと必死だった。
「負けているとどうしても全体的に気持ちがどんよりして、集中力が切れる。だからこそ、原点に戻らなきゃいけない。1軍でやれる幸せを感じながら。1軍で出たくても出れない人もいる。出ている人は出ている人でプレッシャーを感じたり、悩みがあったりするのは分かるけど、それを跳ね返さなきゃ。去年から、ここというところで投手も野手もミスがあって、優勝争いができなかった。ここを乗り越えないといけない。それは選手1人1人の意識。そういうことを言葉に表して鼓舞できればいいんだけど……」