異常事態? パの規定投球回到達者わずか4人、データで見えてくる理由は…

昨季の顔ぶれと比較してみると、そこから様々な要因が見えてくる

 続いて、今季との比較対象として、2018年に規定投球回に到達していた9人の投手たちの顔ぶれと、その成績を確認していきたい(所属は当時)。

岸孝之投手(楽天)
23試合 159回 11勝4敗 159奪三振 防御率2.72

菊池雄星投手(西武)
23試合 163回2/3 14勝4敗 153奪三振 防御率3.08

上沢直之投手(日本ハム)
25試合 165回1/3 11勝6敗 151奪三振 防御率3.16

マルティネス投手(日本ハム)
25試合 161回2/3 10勝11敗 93奪三振 防御力3.51

西勇輝投手(オリックス)
25試合 162回1/3 10勝13敗 119奪三振 防御率3.60

則本昂大投手(楽天)
27試合 180回1/3 10勝11敗 187奪三振 防御率3.69

涌井秀章投手(ロッテ)
22試合 150回2/3 7勝9敗 99奪三振 防御率3.70

多和田真三郎投手(西武)
26試合 172回2/3 16勝5敗 102奪三振 防御率3.81

山岡泰輔投手(オリックス)
30試合 146回 7勝12敗4ホールド 121奪三振 防御率3.95

 上記のランキングを比較するだけでも、規定投球回到達者が減った理由の一つが浮かび上がってくる。則本、岸はケガで長期離脱を強いられ、上沢とマルティネスもシーズンの多くを棒に振った。いずれも万全ならば年間を通してローテーションを守れるだけの実力を持った投手であり、主力級の投手の中に故障に悩まされる選手が多く現れたことが、今季の状況に影響したと考えるのは自然なことではないだろうか。

 また、昨季は規定投球回に到達しなかった面々の中にも、ケガの影響を受けた投手は少なくない。石川歩投手(ロッテ)は2年続けてケガによる離脱を経験し、開幕ローテーションに入った有吉優樹投手(ロッテ)も4月に手術で戦線離脱。ディクソン投手(オリックス)も故障で出遅れ、復帰後はクローザーに転向した。昨季11勝を挙げた榎田大樹投手(西武)も故障で開幕には間に合わず、復帰後も本来の投球を見せられずにいる。

 開幕から先発ローテーションに加わり、防御率2.72と快投を続けてブレークを果たしつつあった21歳の右腕、榊原翼投手(オリックス)が7月に負傷離脱を強いられたことは、今季を振り返るうえでもとりわけ残念なニュースの一つであった。同じく序盤戦から先発陣の一角として奮闘していた22歳の岩下大輝投手(ロッテ)も8月頭にケガで戦列を離れ、先発としてシーズンを完走することは叶わなかった。

 さらに、実績ある投手の移籍と不振も影響を及ぼした。長年オリックスの先発陣を支えた西がFAで阪神に移籍し、西武のエースだった菊池は米球界に挑戦。その後を継ぐ新エースとして期待がかかった前年の最多勝右腕・多和田は、わずか1勝、防御率5.83と絶不調にあえいだ。2014年の移籍以来、毎年規定投球回に到達していた涌井も今季は安定感を欠く投球が続き、7月末を最後に1軍登録を抹消されている。

条件を「100イニング以上投げた投手」に緩和してみると…

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