CBC若狭アナ、今年もドラフト「社内待機」 滝行で絶叫「奥川くん! 中日に来て!」
見えた与田監督のガッツポーズ、はにかむ星稜高校のエース
10月3日。「もうテレビのことは考えない。ひたすら中日のドラフト成功を願うのみ」という強い決意で再び寺に向かった。境内は私とディレクターのみ。張り詰めた空気の中、砂利を踏みしめる音だけが聞こえる。ただ、住職はこの日も明るく気さくで笑顔だった。滝つぼへ移動すると、突如、我々に感謝の言葉を述べ始めた。「この通路を見てください。リフォームしたんです。CBCさんのお陰で滝行の希望者が増えましてね。ありがとうございます」。要は「儲かりました」ということ。住職はどこまでも素直だった。
白装束に着替え、塩で身を清め、いざ滝へ。傍らでは住職が般若心経を唱えている。冷水が容赦なく頭のてっぺんに落ちてくる。私は心の底から叫んだ。「奥川(恭伸)君! ドラゴンズに来て!」「与田監督は今年もくじを当てる!」。終始、目を閉じたままだった。眼鏡にも一切触れていない。精神を統一し、神へ思いを届けた。選手名も奥川一人に絞った。
また、見えた。与田監督のガッツポーズも、はにかむ星稜高校のエースも、歓喜に沸く中日ファンの姿も。スカウト陣の集大成であり、アマチュア選手の夢が叶うドラフト会議。最初は何の問題もなかった。しかし、5年連続で負のスパイラルに陥った。そして、滝で流れを変えた。さぁ、今年はどうなる。もう私にできることは社内待機のみ。人事を尽くし、天命を待つ。
(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)
<プロフィール>
1975年9月1日岡山県倉敷市生まれ。1998年3月、名古屋大学経済学部卒業。同年4月、中部日本放送株式会社(現・株式会社CBCテレビ)にアナウンサーとして入社。テレビの情報番組の司会やレポーターを担当。また、ラジオの音楽番組のパーソナリティーとして1500組のアーティストにインタビュー。2004年、JNN系アノンシスト賞ラジオフリートーク部門優秀賞。2005年、2015年、同テレビフリートーク部門優秀賞受賞。2006年からはプロ野球の実況中継を担当。現在の担当番組は、テレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜12時54分~)「High FIVE!!」(毎週土曜17時00分~)、ラジオ「若狭敬一のスポ音」(毎週土曜12時20分~)「ドラ魂キング」(毎週金曜16時~)など。著書「サンドラのドラゴンズ論」(中日新聞社)。