中日、戦力外2選手がトライアウトへ 現役続行への挑戦、そして妻の涙で気づいた思い
杉山は練習パートナーの近藤、妻に感謝「背中を押してもらいました」「救われました」
秋に突き付けられた厳しい現実。ただ、妻は気丈だった。
「落ち込んでいると思ったんですが、『プロ野球選手と結婚した時から覚悟はあった。まだできる。頑張って』と背中を押してもらいました。ありがたいです」
杉山には他にも感謝している人がいる。
「弘基です。練習パートナーは本当に心強い。最初は1人でした。2、3日は平気でしたが、だんだん心が折れてくる。1週間くらいして弘基が『僕もトライアウトを受けることにしました』と言って、一緒に練習するようになった時は救われました」
近藤のアンダーシャツには「45」という数字が。杉山の背番号だ。
「僕、野球道具を全部捨てたんです。だから、杉山さんにもらいました。僕の夢はドラゴンズで活躍すること。そのドラゴンズに要らないと言われたら、もうそこで終わり。だから、9月30日の練習後にマネージャーから『明日、球団事務所に行ってくれ』と言われた直後、ロッカーを整理したんです」
通算40試合。1割8分4厘。3本塁打。5打点。中日在籍5年(育成1年、支配下4年)。26歳。妻の菜月さんと2人暮らしだ。近藤と言えば、2016年8月2日のデビュー戦。それは父(近藤真市)のDNAを強く感じさせる華々しいものだった。
「父も8月の巨人戦でノーヒットノーランでしたし、何かあるのかなと。2点タイムリーを打った時のランナーが享栄の先輩の武山(真吾)さんと大島(洋平)さんでした。これも何かの縁。結局、2軍でも経験のなかった猛打賞。あの試合が一番の思い出です」