巨人は三塁、阪神は外野…FA市場“開幕”、各球団の補強ポイントと予算を確認【セ編】
セ・リーグ各球団の2020年残り予算を推測
最後に各球団にFA選手を獲得できるだけの予算が残されているかを確認したい。イラストは現時点で退団報道が出ていない支配下登録選手の来季年俸(推定)をチームごとにまとめたものだ。未更改の選手については、今季の成績でどの程度年俸が上がるか、過去選手の成績と年俸の変動データから、機械的に予測した年俸を使っている。
【巨人】
現所属選手の来季年俸は42.9億円と推測された。スコット・マシソン、阿部らの高年俸選手の退団があることで、現所属選手の昇給分を見込んでも、今季と比べ9.5億円の空きが生まれている。外国人選手を入れ替えてなお、FA選手の獲得に動く余裕がありそうだ。
【DeNA】
高年俸の筒香が退団となるが、伊藤光の契約延長、好成績を残した選手の昇給にコストを割かれ、今季の規模からすると2~3億円ほどしか予算の余りはないだろう。大物選手の獲得を狙うには例年を上回る予算が必要だ。
【阪神】
鳥谷敬、ランディ・メッセンジャーなど高年俸選手の退団により、2018年に比べ10億円近い空きが生まれている。複数人のFA選手獲得に向かうことも可能な状況だ。
【広島】
會澤翼の契約延長、鈴木誠也の年俸アップなどを見込むと、予算はすでに過去7年間の規模をオーバーしている。FA選手の獲得は難しそうだ。
【中日】
2013年オフの落合博満GM就任以降はかなり予算規模が縮小された。それ以前の予算を確保できるのであれば大型補強も可能だが、ここ数年の状況を考えるとそれほど予算に余りはないと考えるべきだ。
【ヤクルト】
バレンティンとの残留交渉資金を見込むと残された予算は多くない。市場に出た選手の中でも比較的安価な選手であれば獲得に動くことも可能かもしれない。
(DELTA)
DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。