巨人は三塁、阪神は外野…FA市場“開幕”、各球団の補強ポイントと予算を確認【セ編】

巨人・原監督(左)と阪神・矢野監督【写真:Getty Images, 荒川祐史】
巨人・原監督(左)と阪神・矢野監督【写真:Getty Images, 荒川祐史】

DeNAの補強ポイントは「大きな差をつくれる選手」

 11月2日、今季のFA宣言選手が公示され、3日から各球団は宣言選手との交渉が可能になった。この【FA選手の最適球団はどこか】シリーズでは各FA選手にとってどの球団が最も戦力的にフィットするか、適した移籍先を探す。今回はその前提として、セ・リーグの球団にどういった戦力のニーズがあるか、また選手を獲得できるだけの予算が残っているかを確認していく。

 イラストは、各ポジションのリーグ平均を0とした場合、各球団がそれに比べ打撃・守備(投手の場合は投球)の働きでどれだけ差をつくったかを表したものだ。セイバーメトリクスの手法を使い、各ポジションの成績を試合における得点の単位に換算している。

 例えば巨人の先発投手であれば、打撃でリーグの平均的な先発投手が出場した場合に比べ、4.4点チームの得点を減らし(-4.4)、投球で13.9点失点を防いだ(+13.9)。合計でプラス9.5点の貢献という風に計算が行われている。値は投手も野手もプラスのほうが優れていると見てほしい。

2019年セ・リーグポジション別得失点【画像提供:DELTA】
2019年セ・リーグポジション別得失点【画像提供:DELTA】

【巨人】ニーズ:救援・二塁・三塁

 まず表の巨人の欄を見ると、救援・一塁・二塁でマイナスが大きくなっている。ただ一塁の弱点は岡本和真が三塁出場時に比べ、一塁出場時に成績を残せなかったことが原因だ。阿部慎之助が引退し岡本の一塁での出場機会が増加しそうなこと、クリスチャン・ビヤヌエバの退団が濃厚であることを考えると、一塁よりも三塁にニーズがあると考えるべきだ。

 二塁は吉川尚輝の故障により弱点になってしまった。吉川尚は来季の復帰が濃厚ではあるが故障の多い選手であるため、そのままで問題ないと言えるほど楽観はできない。可能であれば内野をマルチで守ることができる選手のニーズは高い。また救援も補強ポイントのひとつだ。ただ先発を補強することで、ローテーションから溢れた選手をブルペンに加えるという選択肢もあるため、救援の補強にこだわりすぎる必要はないだろう。

【DeNA】ニーズ:ポジション問わず他球団に大きな差をつくれる選手

 筒香嘉智の退団により左翼のプラスは失われる可能性がある。ただ筒香が抜けても梶谷隆幸、桑原将志、関根大気、細川成也など外野手の層は厚く、FAで大きなコストをかけて補強すべきポジションとはいえない。二塁と外野の弱いほうのポジションでネフタリ・ソトを起用するなど、運用で弱点を小さくすることも可能だろう。

 DeNAは全体的には弱点が少なく、あるポジションにそこそこの選手を加えたからといって劇的に戦力が向上するチーム状況ではない。費用対効果が悪くなるのを覚悟の上で、リーグを代表する大物選手の獲得を狙うなどでなければ、大きな戦力の上積みは得られない。

【阪神】ニーズ:一塁・遊撃・外野

 阪神は投手よりも野手、特に一塁・二塁・遊撃・外野でマイナスが大きい。ただこのうち二塁はレギュラーの糸原健斗以外の選手が出場した際の成績が数字を下げているほか、今季セ・リーグ二塁手のレベルが高かったことで、そこそこの成績を残したにもかかわらず平均を下回ってしまっている。糸原に故障などがなければ弱点と捉える必要はない。

 深刻なのは外野手だ。両翼を守ることが多い福留孝介、糸井嘉男はすでに42歳、38歳とかなり高齢になっており、さすがに衰えが隠せなくなってきた。来季にはさらにこのマイナスが膨らむ可能性も考えられる。長期間の活躍が期待できる外野手は是非とも獲得したい。

広島、中日、ヤクルトの補強ポイントは…

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